ふたりの神様
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も生きてるんだから」
「子供扱いというか可愛がってるのよ。かわいいかわいい〜」
「俺かわいい?へへっ」
あれ、かわいいと言われて喜ぶ男の人なんて初めて見た…って人じゃなかった。
「国広」
あたしは放置していた国広にととっ、と寄ると俯いた顔を下から覗きこんだ。すると、視線を避けるようにふいっとまた顔が逸らされる。ありゃ。
「国広」
それをまた追う。
「国広」
「…なんだ」
しつこく名前を呼んでいると、やっと返事が返ってきた。
「あたしと一緒に来てくれる?」
「だから…っ同じ事を何度…!」
「これから先も、ずっと」
ハッと国広がこちらを見た。やっと目が合う。キレイな翡翠の目。神様はみんなキレイな瞳をしているのかな。
「死がふたりを分かつまで」
あれ、なんかどっかで聞いた言葉みたいになっちゃった。
「あん…たはっ…!」
なぜか国広がぼぼぼぼっと赤くなってきゅっと布を引っ被る。刀の手入れで使うまるんとした打粉みたいになってしまった。国広ならぬ、打粉広。
「あれー国広ー国広ー国広ー?清光いまなんかどっか照れるとこあった?」
「大有りだよ、主…」
清光が呆れたように額に手を当てる。
「大袈裟だったかな…死が分かたなくても、イヤになったらいつでも好きなとこに行ってくれてかまわないからね?」
「あー主!そんなこと言うとまた国広がスネるよ!国広は本心じゃ主と一緒に行きたいんだから、多少強引なぐらいでちょうど良いって」
「なっ清光なに言って…!」
「ふうん?じゃあ」
あたしは無理矢理国広の被った布の隙間に手を押し入れてがばっとひっぺがす!
うわっと情けない声をあげて、国広はその勢いで腰をついた。黄金の髪が露になる。
「国広!おまえ、真名をなんという!」
あたしは腰に手を当ててびしりと指を指す。
「や…山姥切国広…」
「山姥切国広!二度は言わぬ、良く聞け!我は前田忠宗が女!前田の全てを統べる宗主である!あたしと共に…来い!」
あたしは強く叫んで国広の手を引いた。
「うわっ!」
ぽかんとあたしを見ていた国広は引かれるがまま、勢い良く立ち上がる。
「あたしの神になりなさい」
あたしはそっと言ってにっこり
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