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さくらの花舞うときに
ふたりの神様
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きちゃった!や、やっぱりそうなの!?



「え…えっとぉ…でもあたし霊力使えないし…」



「使えない?嘘を言うな。使っていただろう」



いつ?ああ、空中から剣を取り出したときのことか。



「いや、あれは違う違う。あたし前田家の姫なんだけどね、守護する神様が…え、なに?」



あたしが「前田家の姫」と言った途端、二人がひゅっと息を呑んだ。そして互いに互いを見る。



「えっとお…なに?」



「いや…いや、そうか…審神者じゃないから知らないのか…。神に名を明かしてはいけないと」



頭にふとあの「注意事項」の紙が甦る。確かに、神に名を明かすべからずと記してあった気がする。



でもそんなの別にわざわざ注意事項にされるまでもなく知っている。



「え?知ってるわよ?名は命だから真名を明かしてはいけないことぐらい。でも神様でしょ?妖怪とか荒御霊(あらみたま)に名前握られちゃったならまだしも、神への願い事とかはむしろ誠意を示すために真名で言挙げるじゃない。てゆーかさっきからなんなの?なんか話が噛み合ってない気がするんだけど。神様に真名を明かしちゃいけないって、それが一体全体、今あたしたちと何の関係があるってのよ」



「…説明する時間がない。今のは聞かなかったことにしておいてやるから、もう二度と言うな」



「えええ?」



「追われてる理由も大体察した。あんたは審神者になる気がないんだな?」



「うん。全く。そんなのやってるヒマありませんことよ。あたし前田背負ってるし」



「あんたなぁ…!」



「下の名前言ってないし、ダイジョブダイジョブ。なに?ここ悪い神様でもいるの?」



「悪い…」



「神様…」



また二人はちらりと視線を交わす。



「そう思っといた方がいいかも。でも本当に真名はぽんぽん口にしちゃダメ。俺たちだからいいけど、色んな神がいるからね」



おかしなことを言う。



「あはは、それじゃあまるであんたたちも神様だって言ってるみたいよ」



「…」



「えっちょっとまって黙らないでよ。え、ホントに神様…じゃない…よね?」



奇抜な格好をしているが、二人とも見た目はまるで人間…触れるし。いや待て。前田の神である玻王(はおう)も触れたな。



いやちょっと待ちなさいよ。ここは、審神者を探してる場所っぽいでしょ。審神者とは何か。降ろした神と対話し、悪い神が、良い神かを判断する…もの…。



つまり…降りてくる神がいる?その善悪もわからないままに?


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