二章 追いつかない進化 - 飽食の町マーシア -
第27話 湖 − それは陸水が生み出した儚き地形 −
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」
――アンデッドにでもなるつもり?
という突っ込みもシドウは思い付いていたが、また何か飛んできそうなので、それは言わなかった。
「ふむ、それは面白い話ですね」
ここで話に入ってきたのはアランである。
「大昔の文明の遺跡は、大きな川を中心としたものが多いです。湖を中心として栄えた大きな古代文明というものは、記憶の限りではほとんどなかったように思います」
アランがその隣にいるトーマス少年に目をやると、彼も遠慮がちにうなずいた。
魔法使いや薬師は、修行中に必ず歴史を勉強することになる。詳しい人が多い。
「もしかしたら、川と違って動きに乏しく、ただ消滅に向かうだけの湖には、大きな文明を育む力はなかったのかもしれませんね」
「あの。それは、今もそうなんでしょうか?」
また遠慮がちに、トーマス少年が聞く。
この湖は町に力を与えてくれる存在ではないのか? ということだ。
「いえ。もう文明のレベルも上がっていますし、マーシアの町と湖という括り自体がもう古くなっているようにも思いますが……。どうですか? シドウくん」
「そうですね。これから他の町との街道が整備されるでしょうから、色々なものが流動的になって、様々なところから発展するための力を得ることになると思います。あとは技術も進歩していますので、湖からの力の引き出し方だってもっと上手になっていくのかもしれません」
「それをやっていくのはトーマスたちだよね? いつまでもナヨナヨしてないで頑張りなよー?」
三人から同時に激励の視線を浴びることになったトーマス少年。
やや恥ずかしそうに「頑張ります」と抱負を述べる。
四人はそのまましばらく、穏やかで美しい湖の景色を眺めながら談笑していた。
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