第十一話:転校生と殺人鬼3
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老いていくのみだ」
「そうか、もう三十路か。長いものだな……」
木刀を下ろした千冬は何処か遠い目をしていた。
「私もお前のように誰かを救えればと思っていた……だが、どこかで教育を間違ったのかもしれん」
どこか弱々しさを含んだ声色に、ラシャは眉を顰めた。
「何があったんだ?」
千冬は暫くの沈黙の後、重々しく口を開いた。
「第二回目モンド・グロッソの際、一夏が誘拐された。下手人からバックの組織さえ不明だった……私は第二回大会決勝戦辞退と引き換えに一夏を救出した。その際操作に協力してくれたドイツ軍に恩を返すべく一年間軍の教官を務めることになり、その時に一人の少女と出会ったんだ」
「それが、ラウラ・ボーデヴィッヒだったりするのか?」
千冬は意外そうな顔をした。
「何故分かった?」
「この時期に軍属が転入してきただけでなく、転校早々問題行動をしでかしたと話題が持ちきりでね、一介の用務員でも耳に入ってくるのさ」
「そうか…なあ、ラシャ。私はお前のようにラウラを導こうとした。落ちこぼれで居場所を失ってたアイツを部隊1番の使い手にしてやった。だが、あいつは私の教えを履き違えて覚えてしまったんだ。力こそが全てだと、力以外は己の存在の証明にならないと思うような奴になってしまった…」
「随分難儀な弟子だなオイ」
「なあ、どうすればいいんだ。ラシャ……私は全力を尽くしたが、ラウラは歪んで育ってしまった……」
ラシャは暫く思案していたが、ふと手を叩いた。
「お前、仮にも先生なんだから生徒指導の一環で話し合ってみたらどうだ?」
「話し合い、か」
噛みしめるように千冬は呟く。
「まあ、相手が聞く耳を持たないのであれば、叩きのめして解らせるっていうのもアリなんじゃないか?オススメしないけど」
千冬は思案していたのか、暫く俯いていたが、吹っ切れたように顔を上げた。
「そうだな、始めたのは私だ。最後まで責任を持つさ」
「ペットじゃないんだ、巣立ち出来るまでにしておきなさい」
「そうだな、ブリュンヒルデの地位が対等な相手を遠ざけてる……肩の力を抜いて話せるのはお前か山田くん位だよラシャ」
「まあ、ガス抜きは必要だな。どうだ?今度食事にでも……」
「良いのか!?」
ラシャの誘いに、身を乗り出す千冬。
「お、おう。お互い暇があると良いが……」
「暇なら作るさ!忘れるなよ!!」
そう言うと、千冬は「忘れるなよ!!」と再度釘を刺すと、武道場から出て行った。
「ありゃー、片付け忘れて行ってら……」
ラシャは虚しく呟くと、散らばった木片を片付け始めた。
数十分後、散らばった木片を片付け終わ
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