暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
重なり合う咆哮
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とを聞いているだけで……ドラコさんに勝って上にいける?)

 ドラコはシンボルハンターやゴコウの様に待ってはくれない。判断は一瞬だった。ジェムが指示を出した後自分の耳を塞ぐ。二体同時の破壊的な音の衝撃が発生し、バトルタワーそのものが震撼する。『ミストボール』の霧による威力の減衰をものともしていない。ジェムの頭も揺れ、数秒の間頭の中が真っ白になった。

「……ラティ?」

 音が止んだ後、自分の相棒に恐る恐る声をかける。フライゴンの『爆音波』の威力は勿論、メガチルタリスによるフェアリータイプの『ハイパーボイス』はラティアスの弱点だ。それがあの破壊力で放たれたとなればダメージは少なくないはずだ。前のバトルと違って能力上昇に頼らず、純粋な力でここまでの威力を出すドラコの本気を思い知る。

「ひゅううあん!!」

 でも、メガラティアスは倒れていなかった。ジェムの傍を飛翔し、元気をアピールする。見たところメタグロスもダメージは受けたがまだ大丈夫そうだ。だがダイバは更に苛々した様子でジェムを睨む。

「……なんで命令に逆らったの? サーナイトは『自己再生』を使えなんていってない。『ミストボール』を使えって言ったはずだけど」
「ごめんなさい。でもドラコさんはメガチルタリスもダイバ君が馬鹿にしてるフライゴンもすっごく強くて、ダイバ君一人じゃ勝てないかもって思ったから……ダイバ君のメタグロスは鋼タイプだから『爆音波』も『ハイパーボイス』も耐えられるはずだし、ラティが倒れないようにした方がいいって思ったの! だから、一緒に力を合わせて戦いましょう?」

 ジェムはきちんと謝って自分の考えを話し、そのうえで協力しようとする。

「……結局、君も僕一人じゃ何もできないって言いたいんだ。もういいよ、勝手にすれば。……僕一人でこいつに勝つから」
「一人なんかじゃないよ! 私のことが信用できなくたって、ダイバ君にもメタグロスやガルーラみたいな仲間が――」
「……うるさいっ! メタグロス、『コメットパンチ』!!」

 しかしダイバはジェムから目を逸らし、震える声で言った。泣く寸前の子供みたいに聞こえたが表情はわからない。メタグロスの鉄塊の拳が流星のように放たれる。一瞬ジェムは自分に向けられるのではと思ったが、霧の向こうの相手を狙ったようだ。

「ほう、だがジェムの『ミストボール』によって私のポケモンは霧に隠れている。それで当たるか?」
「僕のメタグロスを馬鹿にするなっ! あんな大きな音を出したら姿は見えなくても音の反射と響く位置から音源の場所くらい特定できるっ!!」

 ジェムの父親と戦っていた時よりも激しい、かんしゃくを起こした子供のような激昂。その言葉通り、メタグロスの拳はメガチルタリスを上から打ち抜い
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