重なり合う咆哮
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フライゴンの体に拳が当たる。ガルーラ親子の攻撃力がさらに上昇する。
「なるほど、自分が勝つためならジェムがどうなろうと構わないという作戦か……さすが、ホウエンの怪物の息子と言っておこう」
霧によって表情は見えないが、声は賞賛というよりも皮肉に聞こえた。続く言葉が、ジェムに向けられる。
「それで? 貴様はそれで構わないのかジェム。王者の娘であることを誇りとしていたお前が、こんな使い捨ての駒のような扱いで」
「今の私は、お父様の娘として勝負してるわけじゃない。それに私はラティ、仲間たちと……ダイバ君を信じてる。簡単にやられたりしないわ。ラティ、『ミストボール』!」
ラティアスがさらに幻惑の霧を発生させ、特殊攻撃による威力を削っていく。その隙に、ガルーラ親子がまたしてもフライゴンに突撃していく。
「とどめをさせ……『冷凍パンチ』」
『グロウパンチ』によって力を溜めた拳にドラゴンと地面タイプの弱点である氷を纏わせ、フライゴンの顔と腹を捉えようとする。ジェムのラティアスが相手の攻撃力を下げ、ダイバのガルーラが攻撃力を上げて多彩な技で制圧する作戦通りの動き。しかし、ドラコは焦るでも認めるでもなく激昂した。
「ぬるい……ぬるいぬるい、ぬるすぎるっ!! ヴァーチャル相手ならともかく、その程度の戦略がこの私に通用すると思っているのか! フライゴン、『ドラゴンテールッ』!!」
フライゴンが、拳を食らうよりも先に己の尻尾を振り回す。それは親ではなく子供の方に当たると――親もろとも、ガルーラをダイバのボールに戻させた。
「ガルーラが勝手にボールへ!?」
「『ドラゴンテール』は竜の威厳により相手のポケモンの防衛本能を無理やり引きずり出すことで技を受けたポケモンを強制的にボールに戻し、別のポケモンを出させる! さあ、メタグロスを出すがいい!」
「ちっ……うっとおしいな」
ダイバが渋々メタグロスを出す。四つの足で地面を踏みしめ、紅い瞳が霧の向こうの敵を見据えた。
「無理やりボールに戻されたら、能力をあげても元に戻っちゃう……!」
「どうだジェム、貴様が頼りにしていた攻撃力は失われたぞ。それでもこの子供の言いなりに動くか? 私にはこいつはお前をサポートに回らせる価値があるほど強いとは思わんが……さあ、時は満ちた! 聞かせてやろう、重なり合う竜の咆哮を!」
霧の向こうからでも、フライゴンとメガチルタリスが一気に空気を震わせ、吸い込んでいるのが感じ取れる。そこでサーナイトからテレパシーが来た。もう一度『ミストボール』を使って威力を下げろと。二匹同時に強力な攻撃をしようとしているのを防ぐのは間違いではない。しかし……
(でも、本当にそれでいいの? ダイバ君の言うこ
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