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フロンティアを駆け抜けて
重なり合う咆哮
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画とだけな。やれフライゴン、『大地の力』!」

 ドラコのフライゴンがジェムとダイバの足元からマグマのようなどろどろしたエネルギーを噴出させる。ラティアスとメタグロスは旋回して逃げたため当たることはなかったが、もし当たればその上のジェムとダイバはただでは済まなかっただろう。

「フロンティアを破壊するなんて、馬鹿げてる……やるよジェム。こいつをさっさと倒してパパのところへ行こう」
「それしかないのかもしれないけど……お願い、教えてドラコさん! あなたはなんでこんなことをしてるの!?」

 会ったのは一度だけ。でもこの前バトルした時のドラコは、むやみやたらと何かを壊したがる性格には思えなかった。もしそうであれば、あの時心の弱ったジェムは叩き潰されていただろうから。あの時ジェムの力を認めてくれた厳しさの中にある優しさを、ジェムは否定したくない。ジェムは必死に訴える。

「甘い……甘いぞジェム! 私の心を知りたければ、私のドラゴン達に打ち勝ってみせろ! ヴァーチャルシステムは停止したが、貴様らはマルチバトルの挑戦中……そしてまだ塔を昇り続けている。よってルールはこうだ。貴様らは二体ずつ、そして私は四体のポケモンを使用してのマルチバトル! 万が一にでも私に勝利した暁にはここを通し、上で何が起こっているのか明かそう。だが貴様らが負ければ大人しく塔を降りてもらう!」

 ドラコはどうあっても答えるつもりはないらしい。そしてバトルのルールを告げた。しかしダイバは、自分の手持ちのボールを一気に取り出す。

「そっちの指定したルールに付き合うつもりなんてない。6体がかりで一気に踏みつぶして――」
「馬鹿め……貴様らは挑戦中の身であると言っただろうが。一人のトレーナーが出せるのは一匹だけ、そして挑戦する際に指定した二匹しかバトルに参加することは出来ん」

 ダイバが一斉にモンスターボールを開こうとする。しかし一匹も出てこない。ジェムも試しに自分のモンスターボールを開こうとしてみたが、何も反応しなかった。どうやらマルチバトルに挑戦するときに指定したポケモン以外は出せなくなっているらしい。バトルピラミッドにも同様の措置がなされていたので、ドラコが何かしたのではなくもともとそうなっているのだろう。

「挑戦者の不正を防ぐためのシステムだが、思わぬところで役にたったな。尤もそれはこちらも四体しか出せないということでもあるが、何の問題もない。私が負けることなどあり得ん」
「ちっ……」
「……やろうダイバ君。絶対ポケモンバトルで勝って、あなたのお父様のところに行こう! キュキュ、お願い!」

 ジェムは一旦ラティアスから降りてボールに戻してからキュウコンを出す。それはドラコのバトルの条件を呑むと同時に、ダイバのもともとの
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