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殺人鬼inIS学園
第十三話:葬送
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 ラシャは鬱憤を込めてベッドに突っ伏した。

 その頃、1年1組の生徒達は、ドイツ本国に送還されていくラウラ・ボーデヴィッヒの棺を見つめていた。もう一人の男性操縦者と共に転校してきた冷たい転校生は思いもよらぬ理由で学園を去ることになったのだ。皆その光景を呆然に等しき表情で見守っていた。

「ISって絶対防御が働くんじゃないの……?」

 誰かがそう呟いた。その呟きに呼応するように不安と恐怖が疫病のように広まっていく。

「『絶対』なんてものは『絶対無い』さ」

 一夏は無意識にそう呟いた。クラスの視線が彼に集中する。

「事故だって山田先生は言ってたけど、本当は何があったかなんて解らない。だけど、言えることは…俺達には覚悟が足りなかったってことじゃないかな。ISは銃や剣持って戦うものだから…ああいうことだって起こりえる。ボーデヴィッヒさんみたいな人だって簡単に死んでしまうのがISなんだ。今からそれを叩き込んで生きていくしか無いさ」

 一夏はそう締めくくると、完全に倒壊してしまった武道場の方角を振り向いた。

「ラシャ兄が何を見たかなんて俺には解らない。だからこそISを使える俺達がしっかりしなきゃならないんだ」

 一夏の呟きに幾人かの生徒が賛同するように頷いた。

「そうだね……私達、楽天的過ぎたんだよ」

 そう呟く生徒も俯きながら静かに涙を流した。今更になって、少女たちは手にする力の大きさと、その弊害を思い知ったのだ。


 IS学園の教員用トイレの一角に織斑千冬は居た。だが、その様子は平時のそれからは大きく逸脱しており、疲弊の極みにあると言っても良い。事実、彼女は恥も外聞もかなぐり捨て、便器に向かって胃の中の物を粗方ぶちまけ終わったばかりなのだから。
 全世界の女子の大半の憧れといっても差し支えない彼女を追い詰めていたのは、やはりラウラ・ボーデヴィッヒのことであった。文字通りおっとり刀で駆けつけた千冬の目に広がった光景は、倒壊した武道場と点々と続く血痕。そして、職員の手で運びだされたラウラ・ボーデヴィッヒだったものだった。右脚は根本から切断され、顔面に至っては判別不能なほどに損壊しており、左目の残骸と銀髪でどうにか本人と判別できる程の損壊ぶりだった。
 唯一の目撃者であり、想い人のラシャは脚を負傷しているだけでなく、パニック障害を起こしてまともに話せる状態ではなかった。

「ラウラ……何故死んだ」

 ゆっくりと水入らずで話し合いたかった。「私のようになるな」と言いたかった。乾いた青春に身を投じずに、子供らしく泣き笑い、悩みながら駆け抜けて欲しかったのだ。だが、彼女はいなくなってしまった。変わり果てた抜け殻だけを残して。
 千冬は静かに、誰にも聞こえぬように嗚咽を漏らした。慈しみを掛けた
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