二章 追いつかない進化 - 飽食の町マーシア -
第26話 動き出している、何か
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。
おそらく、初めて『自我を持ったアンデッドを生成』できたということなのだろう。
見えないところで、何か大きな企てが進行しつつある。
最終的な目的が何かは、まだわからない。
ただ、それが非常によろしくないものであろうという確信は、シドウの中にあった。
「そうですね。そしておそらく、今後シドウくんは 否応なしにそれに巻き込まれていくと思います。それだけの強い力があって無関係で居続けるのは難しいはずですから」
「よくわかんないけどわたしもそう思う! というか意識しないうちにどんどん首突っ込んでいきそうだけどね」
アランが予言をすると、ティアもシドウの首の鱗をポンポン右手で叩き、それに同調した。
「……」
これから何が起きるのか、どのような形で巻き込まれていくのか、それはまだわからない。
ただ何が起きるにせよ、そこで人間のためにやれることがあるのであれば、それは逃げずにやるべき――ペザルの山にいる母親ならそう言うだろうと、シドウは思った。
だがその一方で、今回の町長の件のような、前例のないようなことが次々と起きたら……。判断を誤らないという自信はとてもない、とも思った。
そのうち、とんでもない失敗をやらかしてしまうのではないか。そのような強い不安も感じた。
「あー、またそうやって考え込む。考えても仕方ないときに考えちゃうのもシドウの悪い癖だよ?」
「そうですね。ティアさんの言うとおりかもしれません。戦場であろうがところかまわず考え込んでしまうのは少しまずいですよ? 戦いで迷いは禁物です」
「そうですね……すみません」
シドウはドラゴン姿のまま、ゆっくり息を吐いて気持ちを落ち着けた。
まったく性格の異なる二人に同じことを言われては、反論の余地はない。
「さて。では庁舎とギルドに行きましょうか。報告・相談しなければならないことが沢山あるでしょうから、まずはそこからですかね」
「はい」
「……の前に」
「?」
アランは、まだ裏庭に残っていた八名の冒険者たちのほうに目を向けた。
自警団の人間はすでにいない。逃げた二人の行方を追っているのだろう。
「皆さん。せっかくの機会なので、こちらに来てドラゴンをもっと近くで見てください」
「あ、いいね! せっかくだし変身解く前にみんなに見てもらおうよ!」
「……はあ。俺は別にかまいませんが」
あんな衝撃的な事件の直後でそのような発想がよく出るなと思いつつ、シドウは了承した。
恐る恐る、彼らが正面から近づいてくる。
しかし、扇状に少し離れて取り囲んだところで一度足が止まった。それ以上はなかなか踏み込めないようだ。
「あの、中身は普通の人間のつもりなので。安心
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