第十話:転校生と殺人鬼2
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ていた。骨格や喉仏の有無。佇まいや態度がどう見ても女子のそれにしか見えないのだ。これに良からぬ思惑の匂いを嗅ぎ取ったラシャは、転校生シャルルを危険人物にカテゴライズすることに決めた。
「兎に角ラシャ兄、俺以外にも男性操縦者が見つかって良かったぜ!!」
屈託のない笑顔で笑う一夏の隣で微笑むシャルルの表情には僅かな陰りが見えた。ラシャの中で、この転校生の怪しさは更に肥大化していく。
間諜にしては、感情を殺すのがあまりにヘタだ。と、ラシャは感じたのと同時に、この様なバレバレの変装をする人間が男を装って転校してくることに関して疑問を持った。今のままでは如何様にも判断することが出来ないとラシャは考え、この場は転校生シャルル・デュノアの自己紹介と、一夏の他愛のない話の聞き手に終始回る事にした。
その日の夜、ラシャは轡木理事長に緊急招集され、フランス・ドイツの二国から転入してきた生徒に関しての説明を受けた。
フランスからは、放課後一夏が連れてきたシャルル・デュノア。ドイツからは、IS運用特殊部隊の隊長であるラウラ・ボーデヴィッヒが転入を果たした。双方、国家の代表候補生の肩書を持っており、将来のブリュンヒルデとなるために一目置かれている存在であった。
「怪しいですね、このシャルル・デュノアという少年」
ラシャはシャルル・デュノアの肩書に一通り目を通すと、あまりにも多くの疑問点にため息を吐いた。二人目の男性操縦者にしては肩書の付与や専用機の準備が整いすぎている。
更に、フランス本国でさえ、彼について全く取り沙汰されていない。パパラッチでさえその存在の片鱗さえ掴んでいないのだ。人の口に戸は立てられないという言葉がある通り漏洩しないほうがおかしいビッグニュースだ。
オマケに、彼の実家はIS開発で世界に名を轟かせているデュノア社だ。自社の宣伝にとっておきの素材をわざわざ発表しなかったのはどういうことだろうか。二匹目のドジョウとはいえ、宣伝効果は莫大なものになるのは火を見るよりも明らかなのに、敢えて徹底的に秘匿させた。
考えられることは一つ、この少年にはとても後ろめたい事情があるのだ。下手をすれば今回の騒動自体を揺るがすほどの何かが。
「シャルル・デュノアも怪しいですが、ラウラ・ボーデヴィッヒも同じくらい怪しいですねえ」
十蔵のいうことももっともだった。このドイツの代表候補生は15歳という異例の若さで少佐の地位に君臨しているばかりか、『シュヴァルツェア・ハーゼ』というIS専門の特殊部隊の隊長まで兼任している。年齢の割には肩書が不相応だ。
「ドイツで噂になっているデザイナーズ・チャイルドの線がありますねえ」
十蔵の一言にラシャは眉を顰める。
「人工授精された強化人間ですか?」
「この経歴
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