第九話:無人機と殺人鬼
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ていた。
「箒!!」
一夏は放送室の隅でへたり込んでいる箒に近寄った。
「一……夏?」
呆然とした表情で箒は一夏の名前を呼ぶが、一夏の顔は厳しかった。
「何であんな危険なことをしたんだよ!専用機さえ持ってないのにあんなことして、何かあったらどうするんだよ!!」
一夏の一喝に箒は数瞬面食らった様子だったが、次第に怒りで顔が真っ赤になり泡を飛ばして反論し始めた。
「な、何だその言い草は!!大体お前が情けないから……」
「避難命令無視した箒には言われたくねえよ!!ラシャ兄達が大怪我するところだったんだぞ!!」
「私よりこの男の肩を持つのか一夏!?」
唖然とする箒の表情に、一夏は呆れるしか無かった。大きな溜息をつくと、失望を露わにした表情で箒に向き合った。
「もう良い、箒とは絶交だ。何を言っても無駄なら、もう話す必要もないし、顔も見たくない」
一夏の決断に箒は青ざめる。
「ま、待ってくれ一夏!!」
踵を返して去ろうとする一夏に、箒は縋り付こうとしたのか慌てて歩をすすめる。
「来るなよ人殺し!!」
怒髪天を衝かれた一夏は遂に声を張り上げた。その言葉に箒だけでなくラシャでさえ凍り付いた。
「ラシャ兄が居なけりゃあお前はこう呼ばれてたかもしれないんだぞ。わかってるのか?」
肩越しに振り向く一夏の表情は死人のように冷たく、瞳には涙があった。
「い、一夏!!待ってくれ!!謝るから!!」
それでも一夏に縋ろうとする箒の眼前に、一夏は刀を突きつけた。
「なあ頼むよ箒、何度も言わせないでくれ。それに、謝るなら俺の前に謝らなきゃならない人が居るだろう?」
吐き捨てるように告げると、一夏はIS格納用ピットへと向かって飛んでいった。呆然とする箒はそのまま駆けつけた教員部隊に拘束され、連行されていった。それと入れ違いに千冬達が飛び込んできた。双方顔面蒼白といった状況で、山田先生はラシャを見るなりワンワン泣き出し、千冬に至ってはラシャを張り倒してしまった。
「全く!なんて無茶をするんだ!私達教員部隊にまかせて逃げるべきだったんだぞ!!」
「グス……そうですよ!私達、気が気じゃなかったんですからね!!」
「ちょっと手加減して欲しかったかなあ…」
放送機材の残骸から身を起こしたラシャは、あらぬ方向へ曲がりかけた首を元に戻しながら呟いた。
その後、日が暮れるまで説教を食らったラシャは、轡木理事長に呼び出されていた。
「先ずは、生徒達の避難誘導の助力を感謝しなければなりませんね。お疲れ様でした」
恭しく頭を垂れる十蔵に対して、ラシャも同じく頭を垂れて返礼した。
「学園に勤務するものとして当然のことをした
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