第九話:無人機と殺人鬼
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ハウリングに襲われた。
「一夏ぁっ!!男なら……男ならその程度の敵に勝てなくて何とするっ!!」
このバカは一夏に檄を、否、野次を入れるためだけにわざわざ命の危険を冒して実況席のスタッフを殴って来たのだ。愚かしくも、「この状況下で自分は役に立つと思い込んでいる」のだ。正直見捨てたいところだが、ラシャはIS学園の用務員である以前に一夏の兄貴分だ。一夏が悲しむようなことはなるべくあってはならない。故に、ラシャは箒を拘束することにした。
放送席には、箒に殴られたのであろう実況と解説の生徒が気を失って倒れていた。
「何をやってる!早く避難しなさい!!」
ラシャは不意打ちをしたい気持ちを押し殺しつつ、箒に声をかけた。案の定、箒は不機嫌さを隠そうともせず、ラシャに反論する。
「またお前か!一夏の邪魔をするな!今どういう状況かわかっているのか!?」
ラシャの頭の中で何かが切れかけた。それは脳の最奥で神経一枚で繋がった状況でフルフルと震え、理性の最終防衛ラインを弱々しく死守していた。
「お前に言われたくはない、無関係な一般生徒とは避難するように言われたのがわからないのか!」
「私は無関係じゃない!!一夏に活を入れるため……」
「それこそ邪魔なのがわからないのか!!そこまで腐っているのか篠ノ之!!」
ラシャは箒越しに、乱入者がこちらに注目しているのが見えた。同時に、敵ISの銃口がこちらを睨みつけていた。
「おいおいおいおい!!」
ラシャは大慌てで気絶している女生徒たちを抱えると、放送席から滑るように脱出した。一夏の叫び声が聞こえたのが心残りだが、今はこの哀れで同情を禁じ得ない実況と解説の生徒を無傷で脱出させる事が最優先だった。
轟音を吐き出す放送席から脱出すると、ちょうど居た教職員に生徒を託し、箒を回収しようと再度放送室に戻ったラシャの眼前には、今まさにこちらに突っ込もうとしている敵ISがあった。
「ちょっと待っ!!」
この世のあらゆる武力のヒエラルキーの頂点に座している存在に勝てるはずもなく、ラシャは思わず防衛本能の赴くままに顔を覆ってしまった。恐らく自分に襲いかかるであろう衝撃と痛みと死の瞬間は訪れなかった。違和感に気付き、目を開けるとそこには純白のISを纏った弟分が、光の剣を敵の脇腹にめり込ませている光景があった。
「一夏!?」
思わず弟分の名前を張り上げる。意外や意外、ついぞ前にデコピンで弾き飛ばした弟分が一丁前に己の命を助けたのだ。
「無事か!?ラシャ兄!!」
一夏の声は、アドレナリンによる興奮状態の影響なのか必要以上に声を張り上げていた。だが、ラシャが手を挙げて無事だと応じると、「良かった」と返事を返すのだが、幾分か落ち着いた声色に戻っ
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