第九話:無人機と殺人鬼
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何かが乱入してきた。
「あれはヤバそうだ」
どう見てもISにしか見えない鉄塊に、ラシャは言いようのない悪寒を感じ、千冬を見た。
「ラシャは避難を。私は教員部隊の指揮を……」
しかし、山田先生の声に更に緊張が走る。
「ダメです!シャッターが降りてて、セキュリティレベルが最大値でロックされてます!!」
「何だと!?」
「今、三年生のプログラミングに長けた子達でクラッキングをさせてます!!」
慌ただしくなる教員席を見て、ラシャは自らの出る幕はないことを察し、素直に脱出することにした。だが、このままでは寝覚めが悪いので少々「ズル」をすることにした。
ラシャは通気ダクトを通じて一旦自室に戻ると、暗殺用のセムテックスを取り出して戻ってきた。そして、千冬に連絡をとった。
「織斑先生、聞こえますかな?」
「ラシャ!?一体何の……」
「これから扉をぶち破りますので生徒諸君に避難勧告を」
淡々と告げるラシャの態度に千冬の声色は大いに慌てた様子で静止した。
「ま、待て!何をする気だ!?」
「工事用のセムテックスで扉を破壊します。時間を考慮すればこれしかないかと」
「…いけるのか?」
「今すぐ教員部隊を突入して頂ければ心置きなく避難できるんですがねえ」
皮肉げに笑みを浮かべると、暫しの沈黙の後に返事が帰ってきた。
「分かった、許可する。だがこれっきりだぞ」
「了解」
ラシャは喜々として扉の隙間に小分けしたセムテックスを詰め込むと、雷管を刺して起爆させた。セムテックスは扉の閂にあたる部分を破壊し、ロック機構そのものを無力化する。ここからがラシャの言う「ズル」の出番だった。
「頼むぞポンコツ、男を見せろよ!!」
ラシャはまだ起爆時の熱が冷めぬ扉の亀裂に手を突っ込むと、自らの腕力のみで扉をこじ開けにかかった。肉、骨、腱、神経の全てが悲鳴を上げる。「中止せよ!中止せよ!中止せよ!」と。だが、ラシャはそれらを無視して力を込める。
白騎士事件の際に受けた「仕打ち」が力となるからだ。それこそ、ラシャの生きる理由にして悲願の一翼を担うモノでもある。
「人間」としてのラシャが限界を迎えた瞬間、鋼鉄のゲートは歪な音を立てて開放された。眼前には唖然とした表情でこちらを見つめる女生徒たち。そんな彼女らに対してラシャは手を叩いて一言。
「はい、押さないで二列になって落ち着いて避難するように。避難訓練の成果を見せる時ですよ!!」
生徒の先導を行っているラシャは視界の隅に篠ノ之箒が実況席に向かっているのを目撃した。
「あのバカ何考えてやがる!!」
ラシャは近くに居たエドワース先生に先導を任せると、実況席に駆け込んだ瞬間、耳障りな
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