第八話:殺人鬼のお悩み相談室
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倒事の匂いを嗅ぎ取った。
「どうぞ」
椅子を勧め、人肌程度の温かさを保った緑茶を紙コップに入れて手渡すと、ラシャは口を開いた。
「只事ではない表情ですね、言いづらくなければどうぞおっしゃってみてください」
「覚えてなかったの…」
「ほぅ」
「一夏が中学の頃の約束を覚えてなかったの!!ああもう何よ!タダ飯食わせてもらえるって、どうトチ狂ったらそういう解釈ができるのよ!!こちとら一世一代の告白だったってのにあの朴念仁はあああああああ!!!」
「おおう」
ガラリと表情を変えて爆発するツインテール転校生に完全に気圧されたラシャは、「またこの手のタイプか」と、お茶を飲みつつ遠目に鎮火するのを見届けようとしたのだが。
「あんたもあんたよ!!」
「おおう!?」
予想外の飛び火に、ラシャは危うくお茶を吹き出しかけた。
「一夏の師匠だかなんだか知らないけど、一夏のやつアタシが中国に帰る前よりあんたの話しかしなくなったじゃない!顔を合わせる度にラシャ兄ラシャ兄って。あの告白のこと聞き出すのにどれだけ苦労したことかぁ…一夏がホモになったらどう責任取るつもりじゃああああ!!」
「うーん、この展開は予想だにしなかったな」
ラシャは戸棚から煎餅を取り出すと、齧りながら眼前の猛獣にどう対処するかをめんどくさそうに考え始めた。
「なんとか言いなさいよ!!あんたのせいでアタシは大恥かいてるんだから!」
「そもそも状況がよく分からないんだが…一夏に告白したら何でタダ飯になるって一体君はなんて告白したんだ?」
「よく訊いたわね、良い?あれは中二の時…」
ツインテール少女は答える。つまるところ訳あって中国に帰らなければならなくなった際、一夏に「料理の腕前が上がったらあたしの酢豚を毎日食べてくれる?」という「私に君の味噌汁を毎日作ってくれないか?」というプロポーズの決まり文句を大幅に魔改造した半オリジナルプロポーズを一夏にしていたが、一夏の反応は。
「毎日酢豚を奢ってくれるって話だろ?いやあ、これでも俺はラシャ兄に鍛えられてるから評価は厳しいぜ?」
と、まるっきり何のひねりも察せずそのまま受け取ってしまい、この中華娘を噴火へと導いてしまったということが大方のあらましである。ラシャは何処からどう突っ込んで良いのか分からなくなったが、取り敢えず何とか一言ひり出すことに成功した。
「君はバカなのか?」
「ぬぅあんですってぇ!!」
般若と化した少女に全く怖気づく事無くラシャは続ける。
「いやぁ、一夏の鈍さを知っておいて『月が綺麗ですね』と言うようなもんですよそいつは。そもそも何でストレートに『好き』と言わないのですか?」
すると、怒気を撒き散らし
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