第6部 贖罪の炎宝石
第4章 カリーヌの実力
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感触を覚えた。
目を向けると、それはウルキオラの右手であった。
「破道の三十二 黄火閃」
黄火閃は、黄色く輝き、扇状に拡散した。
カリーヌは躱す間もなく、ゼロ距離でウルキオラの鬼道に飲み込まれた。
「母様!!」
戦いの一部始終を見ていたルイズが、声を張り上げた。
しばらくすると、黄火閃が真ん中辺りから二手に分かれるようにして軌道を変えた。
いや、軌道を変えられた。
黄火閃が空気に溶け込むように消えると、カリーヌの姿が見えた。
その前には、うっすらと半透明な、壁のようなものがあった。
『エア・シールド』であった。
カリーヌは、最初こそ反応が遅れ、黄火閃の餌食となったが、熱に耐えながら即座にエアシールドを発生させ、ダメージを最小限に抑え込んだのだ。
だが、そうは言っても、ウルキオラの攻撃をゼロ距離でくらったツメ跡は深かった。
右腕のひじから下と、右腹部に所々火傷の跡があった。
カリーヌは痛みに顔をゆがめた。
「ほう。即座に魔法を放ち、ダメージを削ったか」
カリーヌは息を荒げながらウルキオラを見つめていた。
「もう限界か?」
ウルキオラがカリーヌへと身体の向きを変えた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
カリーヌは地面に膝を着きこそしなかったが、もう立っているのも辛い状態であった。
しかし、表情はそれを思わせないといった具合に、笑顔であった。
「想像以上ですわ…はぁ、はぁ…あなたになら、使ってもいいかもしれません」
「なんだと?」
ウルキオラは何のことだ、と考えたが、それが直ぐに愚考であることに気づく。
カリーヌの周りに、今までとは比較にならないほどの魔力がカリーヌを渦巻くように発動していた。
純粋に驚いた。
なぜなら、その魔力量は、隊長クラスのそれに引けを取らないほどであったからである。
カリーヌの周りで渦巻いていた魔力は、風へと変化し、竜巻を形づくる。
「竜巻…同じ魔法か?」
ウルキオラはそう言葉を放ったが、しばらくしてそれが当初使用してきた魔法とは違うことに気づいた。
先ほどより、明らかに巨大な竜巻であった。
さらに、竜巻を形作っている風も高度が増していた。
「スクウェアスペル…か」
天高くまで上り詰める竜巻は軽く100メイルを超え、発生範囲も庭を覆い尽くさんばかりに膨れ上がっている。
まるで小さな台風であった。
「『カッター・トルネード』…私が放つことのできる…最強の風魔法ですわ!」
カリーヌは、息継ぎをしながらも、力強い声を放った。
「なるほど…確かに、最強の貫禄はあるな」
ウルキオラは竜巻を見上げながら、いつも
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