第4章:日常と非日常
第96話「弓」
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手く射れず、中らない。
「手厳しいな。」
「むしろ一朝一夕で簡単に上達したら困るわ。優輝みたいなのが他にもいたら弓使いの式姫として悲しくなるわ。」
「僕だって一朝一夕で習得してないって...。」
優輝は導王時代の実戦経験と、前世での手際の良さから、霊術を早く習得していた。
....実の所、優輝に才能があるかと聞かれれば、あるとは言えないレベルである。
「いたたた...。」
「まだ射形が正確ではないから、長時間射続けるのは無理ね...。」
「うん...。腕と手が痛い...。」
まだ弓を実際に引くというのに慣れていないのか、アリシアは腕を痛めていた。
本来なら腕を痛める程ではないので、やはりまだ射形が上手く出来ていないのだろう。
「...霊力を使えば回復できるけど...どうする?」
「....いや、いいよ。魔法や霊術には頼らない。そんな事したら卑怯だから。」
「そう言うと思ったわ。」
しかし、やはり続行するには支障を来すので、一度休む事にする。
森の中ではあるが、優輝達が先に手入れしておいたため、座ったりするスペースはある。
「そう言えば、霊力でどうやって治すの?筋肉痛は、魔法でも少し治しづらいけど...。」
「魔力ではそうかもしれないけど、霊力は生命力に近いのよ。だから、体内で循環させるように流し続ければ、自然治癒能力を高めれるの。」
「へぇー...。」
休みながら、アリシアは椿に霊力について聞く。
司の件以来、自身に霊力が多量にあると分かったので、興味を持っているのだ。
「便利....だけど、頼っちゃダメ。頼っちゃダメ...。」
「早くも意志が揺らいでる...。」
必死に楽な道を拒もうとするアリシアに、葵は少し呆れる。
「しょうがないな...。アリシア、ちょっといいか?」
「えっ?」
そこで、優輝がアリシアに近づき、手を取る。
「ちょっとしたマッサージだ。放置していると筋肉痛になるものでも、こうしてほぐしておけば大丈夫だし、痛みの回復も早い。」
「あっ、っ、く、くすぐったいよ。」
手のツボとなる部分を、優輝は押す。
「ほら、腕もだ。」
「んっ...う、上手いね優輝...。」
「覚えられるものは全部覚えてきたからな。筋肉痛にならなければ、動きに支障を来す事もないから、これは覚えておいたんだ。」
手慣れた様子でアリシアの手や腕を揉み解す優輝。
アリシアもくすぐったいのと同時に気持ちいのか、上擦った声を漏らす。
...傍から見れば、セクハラである。
「っ......!」
「凄く誤解されそう...。」
気持ちよさそうにするアリシ
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