第4章:日常と非日常
第96話「弓」
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、アリシアにも限界があり、つい噛みつくように言い返してしまったのだ。
その際、“十日後に競射で勝ってやる”と啖呵を切ってしまったのである。
「...それで、私に頼りに来たの?」
「うん...。シグナムは魔法で使うだけだし、優輝も使えるだろうけど、それは“当てるための弓”であって“弓道”じゃないし...。椿が一番適任だと思って...。」
「まぁ...理にかなっているわね...。」
アリシアも“和”の文化については興味があった。
だからこそ弓道部に入ったのである。
そして、その“和”に最も通じているのが椿だと分かっていたため、こうして椿に直接頼みに来たのだ。
「お願いします!私に弓を教えてください!」
「教えて...って言われても、アリシアは素人でしょう?さすがに十日で人並みにっていうのは、厳しいわよ?」
「でも、それでもあんな先輩に負けるのなんて嫌なんだよー!」
椿も、アリシアのいう事は分からない訳ではない。
アリシアも遅れた分を取り戻そうと頑張っているのだ。
それを馬鹿にするような人間に負けたくはないし、逃げたくもない。
しかし、それでも十日で人並みに上げるのは少し難しかった。
「....はぁ。まぁ、やってみるわ。うんと厳しくする上に、どれだけ上達するかは分からないわよ?それでもいいかしら?」
「やらないよりは断然マシだよ。...お願いします。」
「教えるなんて、あまり経験はないのだけど...。優輝、葵。手伝ってくれるかしら?」
とりあえず教える事に決め、椿は優輝と葵に協力を求める。
別に断る理由もないので、二人はあっさりと了承した。
「場所は...八束神社の近くがいいでしょ。じゃあ、早速行くわよ。」
「えっ、もう!?」
「一刻を争うわ。それとも、上手くなれなくてもいいのかしら?」
「っ、ごめん。行くよ。」
そうして、アリシアは椿に弓を教えられる事になった。
その日は基礎知識を体で覚えさせて終了し、そして冒頭に至る。
ちなみに、椿の弓の知識と弓道は、少しばかり違いがあったため、優輝が図書館から弓道関連の本を借りて照らし合わせながら教えていた。
「とりあえず正座関連は大丈夫だけど、肝心の射法八節がまだね...。」
「二日目でそこまで行ったのは凄いと思うけどねー。」
「無理矢理詰め込んでいるだけよ。せめて五日目までには大体できるようにして、後は全部体に馴染ませないと、上手く射れないわよ。」
射法八節とは、弓矢を用いて射を行う射術の事である。
足踏み、胴造り、弓構え、打起し、引分け、会、離れ、残身の八つの動作を表しており、これができなければ基本弓道で矢は上
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