オーディナル・スケール-nowhere-
起動
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に、もう一個だけ、聞いてもいいかな」
「ああ。ナイスなのに付き合わせてくれたお礼に、何でも聞いてくれ」
それまではいい運動をした後のように――実際、いい運動にもなかったが――にこやかな表情を崩さなかったレインだったが、その質問とやらはどこか言いにくそうにしていた。そんなレインに対して、拡張現実という自らを活かせる環境に満足していたのか、気分良く応じた俺は――数秒後に後悔することになった。
「あの……好きな人に伝える歌、みたいのがあるんだけど、上手く歌えなくて……参考までにさ。ショウキくんって、リズっちのどんなところが好きになったのかとか、教えてくれると……」
「……え?」
「だから、ショウキくんって、リズっちのこと、どんなところで、好きになったの? って!」
「別に聞き返したわけじゃない……!」
驚愕に対して勝手に口が開いたのみだというのに、わざわざ二回もレインはその問いかけをしてきて。チラッと見ればやはり質問する側も恥ずかしいのか、羞恥に頬が紅潮しているが――答える方も答える方で、まるで罰ゲームのようなものだった。
「何でも聞いてくれ、って言ったよね。ショウキくん?」
会いたいって言葉がナンセンスとか言われても分かんないよ――と、恐らくは件の歌詞のこと呟きながらも、レインは先程の調子に乗った返答を持ち出してくる。もはやあちらは恥ずかしさの極地からは脱したので、多少の余裕を持って目を逸らすこちらを追撃してきていた。
「……だよ」
「え? なに?」
確かに何でも聞いてくれ、などと言ったのはこちらだし、こうなればさっさと言うに限る――と思考を高速回転させて言い放ったが、言った自分にすら聞こえない音量だった。もちろんレインには聞こえなかったらしく、あとは逆ギレのように言い放った記憶しか残っていなかった。
「――ああ、一目惚れだよ!」
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