暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
オーディナル・スケール-nowhere-
起動
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が追いつくには難しいだろう。

「あんた、もっと皮剥き出来ないのか?」

「そんな野菜みたいな……」

 銃を持ったプレイヤーたちの生き残りである、虎の頭をしたプレイヤーが、そのマシンガンを見せつけながら聞いてくる。確かにもう少し猪タイプの肉を露出出来れば、生き残った銃撃プレイヤーの掃射で倒すことが出来るかもしれないが。

「ショウキくん! そっちにおびき寄せるから、その時に!」

「……分かった。そっちは準備を頼む!」

「おうよ!」

 そんなこちらの思惑が伝わったのか、レインから作戦の伝令が飛び、虎頭のプレイヤーも近くに銃撃プレイヤーを集めていく。急増の作戦だったものの、草原をひた走る猪タイプに対して、ひとまずはこれしか手はない。

「こっちこっち……よろしく!」

「せやっ!」

 猪タイプのヘイトは片手剣を突き刺したレインに向いており、レインを守るように盾持ちのプレイヤーが控えていた。そして猪タイプの雷光の突進を一瞬でも押し止めると、その隙に側面から接近した俺が猪タイプの皮を出来るだけ斬り裂いていく。

「そこ!」

 一瞬の邂逅。人数の少ない盾持ちが猪タイプの突進を防ぐことが出来るのは、たったの一瞬しかなかったが、その隙があれば充分すぎるほどだった。側面から急接近した俺が猪タイプの皮を斬り裂くと、盾持ちのプレイヤーから飛び出したレインが露出した肉を再び剣で突き刺した。

「今だ!」

 そうなれば猪タイプは苦悶の声をあげるため、その場で少しだけ動きを止めるのは先程の攻防で判明していた。猪タイプが動きを止めた隙に近接武器組は逃げ出すと、虎頭のプレイヤーの指示による一斉射が猪タイプを襲い――耐えることは出来ずに、その身をポリゴン片と変えていた。

「…………」

「やった! あれ……どうしたの? ショウキくん」

「いや……こっちでも、あの演出なんだなって」

 仮想空間で消滅した際にも生じる、あのどこか美しくもあるポリゴン片の四散は、どうやら拡張現実でも変わることはないらしい。仮想空間でも拡張現実でも動きが変わらない自分という存在もあり、ある考えが脳裏に浮かび上がっていた。

 ――VRとAR、その違いは何処にあるのだろうか、と。


「んん〜。今日は色々とありがとうね、ショウキくん」

「こちらこそ。おかげでリズたちに自慢話が出来たよ」

 そうしてレインとともに会場を後にすると、拡張ではない本当の夕日に身体を伸ばしながら、お互いに帰途につく為に駅に向かっていた。装着していた《オーグマー》をレインに返しながら、発売寸前故にすぐさまリズたちに自慢出来ることを嬉しく思う。

「そう言ってくれれば、宣伝する身としては嬉しいかな。あと……えっと。ありがとうついで
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