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SAO−銀ノ月−
オーディナル・スケール-nowhere-
起動
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験したことがあるらしく落ち着いていたが、その格好はフリル付きのセーターから赤色の制服姿に変わっており、背中には一本の剣が背負われている。

「自分たちは現実空間にいるまま、現実を仮想空間にする……これがARゲーム――なんだってさ」

「なるほど……な」

 レインのしたり顔による解説を受けて、動揺をレインに見破られないようにしながら、自らの格好を確認する。いつの間にやら自分もレインと同様、黒いアクセントがついた制服に身を包まれており、その腰には日本刀を帯びていた。

「《オーグマー》がサッとスキャンして、得意な武器を決めてくれるんだって。変えたいなら変えられるみたいだけど……」

「いや、これでいい」

「だよねー。それに……」

 ニヤニヤと笑いながら、分かりきった質問をしたレインはこちらの腰を――いや、腰に帯びた日本刀を見た。その日本刀の形は通常とは異なった形をしており、確かにソレには自分のことながら苦笑してしまう。

「スキャンの影響で武器の形は十人十色とは聞いてたけど、まさかそうなるなんて」

「もう、こいつ以外振れないってことかもな」

 俺の脳内をスキャンして作り出された腰の日本刀は、仮想空間での愛刀こと日本刀《銀ノ月》と、全くと言っていいほどに同じ形をしていた。もちろん刀身の弾丸や振動剣といった機能はないが、姿形だけなら本当に生き写しと言っていいだろう。

「リズっちも喜ぶんじゃないかなー? ……っと。来るみたいだよ、ショウキくん!」

「ああ。でも……」

「でも?」

 そんな日本刀《銀ノ月》には本当に苦笑しかないが、無駄話もレインの一言で区切りをつけられた。武装するということは、戦う相手がいるということであり――空の向こうから何かが飛来する、ビリビリとした感覚が周囲を支配した。

「――リズは喜ぶより先に、腹を抱えて笑うと思う」

 ――そうして草原に降り立ったのは、巨大な猪タイプのモンスター。まるで大型バスのような巨体を誇っており、俺たちプレイヤーに対して明らかな敵意の視線を向けていた。そして耳をつんざくような叫びが空に響き渡り、それは戦闘開始の合図かのようだった。

「いっくよー!」

 レインの叫びも号令のように、重火器を持っていた他のプレイヤーが猪タイプに一斉掃射を開始する。銃もあるのか――と感心していたものの、猪タイプの厚い皮にはどうやら効果が薄いようだ。どうにも威力が低く設定してあるらしく、猪タイプの怒りを買ったのみに終わる。

「……よし」

 一言、気合いを込めながら日本刀《銀ノ月》を鞘から解き放つ――が、鞘は拡張現実の飾りらしく、刀身を抜き放つ感覚はない。つまりは抜刀術も出来ないわけか、と内心で舌打ちしたい感情を抑えながら、他のプレイヤーに襲
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