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太陽がくれた季節
第五章
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「その球場はな」
「へえ、そうだったの」
「面白い球場だったな」
 その遠い目で私に話してくれた。
「あそこは」
「聞いてたら」
 その話をだ、私はどうしてもだった。
「昭和四十年代に興味持ってきたわ」
「そうなったか」
「あの曲は臭いと思うけれど」 
 それでもだった。
「四十年代も面白いのね」
「今思うといい時代だったぞ」
 お祖父ちゃんの若い頃もだ。
「本当にな」
「そうなのね」
「ああ、まあ色々調べてみろ」
 私自身でというのだ。
「あの頃はあの頃でよかった」
「巨人九連覇したのに」
「それはよくなかったけれどな」
 巨人が大嫌いというか超嫌いなお祖父ちゃんは顔を顰めさせてすぐにこう言った、お茶の渋さは平気なのにだ。
「暗黒時代だったな」
「野球については」
「ああ、それはいいんだ。公害もあったけれどな」
 それでもという言葉だった。
「いい時代だったぞ」
「あの頃はあの頃で」
「またな」
 私に笑顔で話してくれた。
「だから色々調べてみろ」
「そうしてみるわね」
 実際にとだ、私はお祖父ちゃんに答えてその返事通り調べてみた。そしてそのうえで皆に言った。
「お祖父ちゃん達が若い時代も面白いわよ」
「昭和四十年代も」
「そうなのね」
「ええ、何かとね」
 公害や正直調べていて馬鹿だとしか思えない学生運動特に巨人がとんでもなく強かったというよくないことがあってもだ。
「面白いわよ、それにね」
「それに?」
「それにっていうと?」
「あの曲もね」
 太陽がくれた季節、この曲の話もした。
「何度か聴いていたらわかるわよ」
「わかるって?」
「まさかいい曲だっていうの?」
「これがね、最初は臭いと思ったけれど」
 その歌詞がだ。
「これがね」
「いい曲なのね」
「何度か聴いてるとわかる」
「そうした曲なの」
「時代が違っても」
 聴いていて私が辿り着いた結論だ。
「いい曲はいい曲なのよ」
「そうなるのね」
「名曲は時代を超える」
「そうなのね」
「だって六甲おろしだってね」
 阪神タイガースのあの曲もだ。
「童謡とか文部省唱歌もそうでしょ」
「まあそれはね」
「言われてみればそうね」
「かなり昔の曲だけれど」
「名曲ね」
「名曲であることはそうよね」
「だからね」
 それでとだ、私はまた皆に話した。
「あの曲もそう思ったわ」
「実はいい曲」
「臭い歌詞と思っても」
「実はそうなのね」
「名曲なのね」
「そうなの、だから聴いてみて」
 このことを皆に勧めた。
「何度もね、そうすればね」
「真価がわかる」
「そういうことね」
「よかったらね、しかしまあ」
 私はここでこうも思った。
「昔は昔で楽しい時代だっ
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