暁 〜小説投稿サイト〜
八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第百五話 夜になってその三

[8]前話 [2]次話
「そうなんです」
「そうなのね」
「ですからイタリアにいても」
 あの国にいてもだ。
「多分甘いワイン楽しんでいます」
「イタリアの甘いワインを」
「ランブルスコとか」
 モデナ産だ、発泡性でかなり甘いワインだ。
「大好きなんです」
「そのワインも飲んでみたいでござるな」
 マルヤムさんは今飲んでいる発泡性ではない普通のワインの味を楽しみながらランブルスコについても言った。
「是非」
「じゃあ今度小野さんにお願いしてね」
「そして、でござるな」
「ランブルスコ用意してもらおう」
「そのうえで飲むでござる」
「そのワインもね」
 僕は今のワイン、スペイン産のその甘いワインを飲みつつマルヤムさんに話した。パエリアとワインの組み合わせは最高で。
 一本開けた時には三人共だった、僕達はそれぞれのパエリアを奇麗に食べていて貝殻や海老の尻尾、鱈や鶏の骨が皿の上にあるだけだった。 
 全部食べてからだ、チェチーリアさんはお店のナプキンで口元を拭きながら僕とマルヤムさんに言った。
「ディナーも食べたけれど」
「それでもでしたね」
「奇麗に食べられたわね」
「そうですね」
 僕も応えた。
「本当に」
「美味しかったし」
「ワインも飲みやすくて」
「凄くよかったわ」
「これで今夜三本目で二食目でござるが」
 マルヤムさんはすっかり赤くなっているお顔で言った。
「いや、それでもでござる」
「まだだね」
「少し飲んで食べられるかもでござる」
「そんな感じだよね」
「不思議でござる」
 相当飲んで食べたのにだ。
「まだいけそうでござる」
「そうだね、けれどね」
「ここで飲んで食べるとでござるな」
「お酒はこれから回るし」
 時間を置いてだ。
「食べものも徐々になってきてると思うけれど」
「満腹に」
「だからね」
「とりあえずはでござるな」
「これで止めておこう」
 とりあえず今はだ。
「そうしておこう」
「そうでござるな、まだ七時でござる」 
 外を見ればやっと夜になりだしたところだ、夏の短い夜ははじまったばかりだ。
「これからでござる」
「この夜は」
 チェチーリアさんも赤い顔だ、その顔で僕達に言ってきた。
「ここでは面白いものがあると聞いたけれど」
「そうそう、ハウステンボスは夜もなんです」
 僕はまさにという調子でチェチーリアさんに答えた。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ