第53話『合縁奇縁』
[10/10]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
「え?……っ!?」
その時、ユヅキの唇と晴登の唇が重なる。柔らかい感触が印象的だった。
互いの涙が交わり、互いに笑みで心が満たされる。
「大好きだよ、ハルト」
ユヅキの最後の言葉が、強く胸に刻まれる。
そしてそのまま、晴登の意識は遠い彼方に消えた。
* * * * * * * * * *
「ん……」
目を擦りながら、晴登は身体を起こした。
その身体は懐かしの我がベッドの上にあり、視界に映るのも自室の風景である。
「帰ってきたのか…」
長い長い3日間が、ようやく幕を閉じた。
ベッドの上で朝日を浴びながら、晴登は大きくため息をつく。
「さすがに、キツすぎるだろ…」
身体の奥底に渦巻くやるせなさ。例え夏休みだろうと、遊ばずにずっと寝ていたいぐらいだ。
「……起きるか」
ウダウダ言っていても、戻ってきたのだ。今日は平日だったと思うし、学校もあるはず。
さすがに体感時間で3日間も異世界で過ごしたから、人との会話に齟齬が生まれそうだが・・・
「……ん? 何かやけにベッドが狭いな」
ベッドで伸びをしてると、ふとそう思った。
3日間違う寝具で寝ていたから、勝手が変わるのは当たり前だが──違う。
「一体、何が…?」
晴登は自分の隣の、やけに布団が膨れている所を見る。恐らく、狭いと感じた原因はこれだろう。
「……ごくり」
息を呑む晴登。異世界から帰ってきて早々、嫌な予感しかしない。しかし、事態は目の前で起こっているのだ。確かめずして……どうする。
「ええい、ままよ!」
晴登は恐る恐る且つ大胆に、布団を捲りあげる。そして、謎の物体の正体に目を疑った。
「ユヅキ…!?」
静かに吐息を立てて眠る、銀髪美少女ユヅキの姿がそこにはあった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ