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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第53話『合縁奇縁』
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しまう。だから晴登は、タイムリミットまでに人目のつかない場所に行こうと考えたのだ。


「あと、1時間も無いだろうな」


そう呟きながら、晴登は避難所を出て、歩いた。

とりあえず、王都を出よう。そしたら辺りは森だし、人目にはつかないはずだ。


・・・いや、最後にあそこに寄っていこう。







「着いた…」


晴登の目の前にあるのは1つの一軒家。
それは見慣れたものであり、今までユヅキと過ごした家でもある。
晴登は1人で異世界の余韻に浸りながら、現実世界への回帰を待ち望んだ。

しかしその時、土を踏む音が耳に入る。


「──ハルト!!」

「っ…!? 何で、ここに…?」


晴登を呼んだのは、紛れもないユヅキだった。走って追いかけてきたのだろう、息が上がっている。彼女は膝に手をつきながら、呼吸が整うのを待たずに言った。


「まだ…お別れを、言ってないから」

「そ、そうか…」


どうせなら、このままさっさと帰りたかった。ユヅキの顔を見てしまうと、帰ろうという気が削がれてしまう。


「あのね・・・ボクと友達になってくれて、ありがとう」

「……っ!」


なぜこのタイミングでそんなことを。ダメだ、それ以上言うな。


「ボクと一緒に居てくれて、ありがとう」


そんなの卑怯だ。今、それ以上言われたら・・・


「ボクを守ってくれて、ありがとう」


守ったことなんて、果たしてあっただろうか。間違いなく、俺の方が守られてばっかだった・・・


「ボクと出逢ってくれて、ありがとう」


その時、晴登の頬を涙が伝った。

今まで、これほど正面から感謝の気持ちを伝えられたことはなかった。
胸が苦しい。何か、身体の奥から何かが昇ってくる感じがした。でも、言葉で言い表せない。


「だからね、ハルト・・・」

「……?」

「ボクに構わず、行って。待ってる人たちが…いるんでしょ?」


ユヅキの声も震えていた。見ると、涙を流しながら、必死に笑顔を作ろうとしている。

そうだ。決めたじゃないか。別れる時は笑顔でいようって。自分も、目一杯の笑顔を返さないと。


「…それじゃ改めて。じゃあね、ユヅキ」

「うん。さよなら…ハルト」


その瞬間、晴登の身体がだんだんと光に包まれていった。

なるほど。そういう帰り方なのか。

1人納得して、晴登は光に身を預けた。



「……っ!」

「…ユヅキ?!」


意識が飛んでいくかと思った刹那、ユヅキに抱擁される。
すると彼女は涙目のまま上目遣いに、


「……最後に、これだけは言わせて」


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