第53話『合縁奇縁』
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えっ!? ラグナさん、生きてたんですか!」
「バーカ、そう簡単に死んでたまるか。お前も無事そうだな。良かった良かった」
ホッとしたのも束の間、また驚かされてしまう。
いつの間にかラグナが合流しているのだ。でもって、安心したのか、いつもの調子で笑っている。
「ラグナさんはいつ合流したんですか?」
「そりゃあカクカクシカジカでな・・・」
「……ん!? ウォルエナを1人で!? そんな強かったんですか、ラグナさん!?」
「俺は目の前で見たけど、開いた口が塞がらなかったよ」
ラグナの武勇伝とも言える話を聞き、またも驚く。そろそろ驚きすぎでどうにかなりそうだ。
「ユヅキ、調子はどうだい?」
「ミライさん! はい、大丈夫ですけど・・・ミライさんこそ大丈夫だったんですか、あの怪我?」
「見られていたのか、面目ない。治療は済んでいるから大丈夫だ」
「そうですか…!」
晴登もラグナもミライも、そして自分も無事。
その事実だけで、ユヅキは泣きそうなくらい嬉しかった。
──ふと、その顔に眩しい光が降り注ぐ。
違和感だったのは、ヒョウと戦っていた時の日の方角と、今の日の方角が正反対だということだ。
「あれ、もしかして、これは朝日なのかな…?」
ユヅキは自分の仮説に冷や汗をかく。
もしこれが正解なら、自分は一晩中寝ていたことになる。
少なくとも、ヒョウと会った時刻頃には、日が真上に昇っていたから。
「そうだね。ユヅキはハルトの膝枕で一晩中寝てた訳だ」
「やっぱり・・・って、え? 今何て言いました?」
「街の復興にも、兵士が取り掛かっている。ユヅキが起きたのなら、とっとと避難場所に行かねぇと」
「無視しないで下さい・・・というか、何で先に行かないんですか!」
ミライもラグナも本調子。ユヅキを翻弄している。
おかげで安堵の息の次に、嘆息してしまうユヅキ。
「んじゃ、行くぞ」
「それじゃハルト、ユヅキを運んできてね」
「えっ、俺ですか!? ラグナさんの方が適任でしょ・・・ってあぁ、行っちゃったよ…。仕方ない、行くよユヅキ。背負って行くから」
「え?」
まだ身動きの取れない身体が、晴登によって、動かされる。そして気づいた時には、晴登の背中に乗っていた。
そのまま晴登は、ゆっくりと歩き出す。
*
「……ねぇ、ハルト」
「ん?」
歩き始めて数分、ユヅキから声がかかった。
背負っているため顔は見えないが、どことなく寂しさを醸し出している。
「ハルトとは……そろそろお別れなんだよね」
「…
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