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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第53話『合縁奇縁』
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人で倒すんですか?!」

「あ? お前は今動けるのか?」

「いや、動けませんけど・・・」

「だったらそういうことだ。お前は休んでろ、ユヅキを捜すために」


晴登は何も言えなかった。ラグナの言う通りである。
自分には何もできない。ラグナを信じて任せるしか、手段がないのだ。


「…お願いします、ラグナさん。俺を、ユヅキを助けてください!」

「言われなくても!」


それからの事の顛末は早かった。

何十匹もいたウォルエナが、1人の男に続々と倒されていく。素手であるにも拘らず、ラグナは容易くウォルエナの脚を、頭を、胴体を破壊していった。
さすがに晴登も、その様子には唖然とするしかなかった。


「強い……」


その呟きは、自然と洩れていた。ラグナの強さを尊重し、或いはラグナへの尊敬の念を抱いて。


数分後には、血に塗れた拳を掲げるラグナの周りに立つウォルエナは、1頭もいなかった。







頭が痛い。身体が怠い。力が出ない。

だけど、思考だけは無駄に働く。

自分が意識を失ってから、どれだけの時間が経ったのだろうか。

思考ができるということは、死んではないみたいだ。

耳だって正常に働いていた。
誰かの声が、絶えず耳元で聴こえてくる。


その声に誘われるように、ユヅキはゆっくりと目を開いた。


「起きたか、ユヅキ?」

「ハルト……」


目を開けると、そこには晴登がいた。

同時に、薄暗い空も同時に見える。

自分は外で寝ていたのか。



「・・・で、何でボクはハルトに膝枕されてるの?」

「いや、ミライさんに言われたの! その方がいいって! 別に俺がしたいとかじゃない!」

「嫌々やってるの…?」

「あ、いや、そんな泣きそうな顔しないでくれ! 全然嫌じゃないから!」


晴登は焦るように弁明しているが、もちろん少しからかっただけである。
にしても、自分もだが晴登が無事で良かった。アランヒルデがしっかりと戦ってくれたからだろう。お礼を言わないと。


「ハルト、アランヒルデさんは?」

「アランヒルデさんなら、ヒョウを連れて城に戻ったよ」

「そっか…」


いないと言われても仕方のないことだ。何せ彼は王都騎士団団長。忙しいのは知っている。
きっと、ヒョウは逮捕という扱いだろう。もう会うことはないと思う。


「……全部、終わったの?」

「…うん。犠牲が多く出すぎたけど、ウォルエナは全て討伐されたよ。もう、終わったんだ」


それを聞いて、ユヅキは緊張の糸が切れた。大きく安堵の息をつく。


「ユヅキ! 起きたのか!」


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