第53話『合縁奇縁』
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けマシだ。見ると、傷がかなり癒えてきている。
「厄介な状況だね…」
「俺はまだ、魔力が少ししか回復してないですし、これだけ多いとさすがに無理です」
「僕も動くのはちょっと無理だな。はは…」
「笑えないです!」
いや、満身創痍な自分たちに多数のウォルエナが群がるという絶望的な状況なのだ。むしろ笑うしかない。
「ユヅキは大丈夫なのか…?」
「他人の心配できるくらい余裕なの?」
「それは余裕じゃないですけど・・・てか、そのニヤけ顔止めてください!」
ウォルエナの前でコントを晒す晴登たち。無論、故意ではない。心配する気持ちは本物だ。
この場所からユヅキが戦っている場所まではそう遠くない。ウォルエナの別の群れが行かないとも限らないのだ。
尤も、そこにはヒョウがいるわけだが・・・。
「全く…晴登はユヅキのことしか考えていないのか?」
「違いますよ! ユヅキのことが心配なだけで・・・大体、ミライさんは何でそんな余裕なんですか?!」
「何でって・・・そりゃ、策があるからね」
「策…? それって一体・・・」
聞くよりも早く、ミライの指が鳴る。そして快音と共に、前方が眩い光に包まれて──爆ぜた。
「な!?」
「妖精の罠。こんなこともあろうかと、予め仕掛けておいたのさ」
「おぉ…」
手際が良いというか何というか、どちらにせよ助かった。ミライの心配性に感謝しないと・・・
「ガルル…」
「やっぱ残ってた! 展開的にあると思ったけど! どういうことです、ミライさん?!」
「あれ、おかしいな。もしかして新しく来たのかな…?」
「だったら、さっきのもう1発!」
「言ったろ? あれは罠だ。もちろん使い切りの」
おい嘘だろ?
こちとら何回絶望味わったと思ってるんだ。神様不条理過ぎない? 理不尽過ぎない? 世知辛いのにも程があるよ?
「数は減ってますけど、勝てる気がしない…」
「うん。さっきの罠で、僕はせっかく回復した魔力を使い切っちゃったからね」
「あぁダメだ、俺はそれを責められる立場じゃねぇ…」
今のを含めれば、ミライには2度命を救って貰ったことになる。そんな恩人を相手に、これ以上何を押し付けられるだろうか。
「って言っても、俺がどうかできる訳じゃないしな…。せめて、もう少し魔力が回復すれば・・・」
悠長に構えていれば、ウォルエナたちはすぐにでも襲ってくるだろう。
だかさっきの罠もあってか、今は警戒しているようだ。この間に突破口を見つけないと。
「となると、弱ったところ見せたら襲ってくる
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