第53話『合縁奇縁』
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は唖然とした表情の後、静かに膝をついた。
「ボクのやってきたことは、無意味だったのか…?」
「さぁな。けど、少なくとも周囲に影響を与えていただろうな。お前のしたことは罪だ、しっかりと償って貰うぜ。だからよ・・・」
アランヒルデは一旦言葉を切った。そして、ユヅキの前から姿を消す。
急な事態に困惑していると、後方から声が聞こえてきた。
「だからよ、このウォルエナども、早く片付けてくんねぇかな?」
声音と共に、耳を塞ぎたくなるような肉音が響く。
振り返ることはできないが、複数の唸り声からも状況は何となく察せた。
・・・ウォルエナに、囲まれている。
「ったく、全く減らねぇなこいつら。早く撤退命令出せよ、ガキ」
「…ウォルエナは、ボクのことを見限ったようだ。わかるんだよ、ウォルエナは賢い。キミの言う通りさ。器が無いと判明し、剰え大陸の王になる夢を諦めた。そんな奴の命令なんか、彼らは聞かないだろうね」
「はっ、つくづく面倒いな、クソッタレ」
ガックリと項垂れて、戦意喪失しているヒョウ。
それに比べ、アランヒルデは臨戦態勢だろう、剣を抜く音が聞こえた。
無防備で、しかも周囲の様子が見れずに地面に突っ伏すのは、恐怖でしかない。
彼が全て倒してくれればいいのだが、もし逃げられでもしたらユヅキと、今はヒョウの命さえ危ぶまれる。
王都騎士団団長とはいえ、信じて任せ切ることは正直無理だ。
「けど、ボクは何もできないんだ…」
想うだけなら誰でもできる。
けど、身体が動かないんじゃ仕方ないというものだ。
きっと、何とかしてくれる。
目覚めた所かウォルエナの胃袋じゃないことを祈り、ユヅキは力尽きて目を閉じた。
*
「ヤバい、この状況はさすがにヤバい…!」
頭を抱えたいが、そんな気力もなし。
ミライの隣で壁にもたれ掛かりながら、晴登はただ自分の運命を呪った。
場所は大通りから少し離れた裏通り。
店もいくつか点在し、普段なら大通りまでとは言わないが賑わってることだろう。
しかし今回、そこで賑わうのは人ではない。
──今、晴登たちは、前方180°が多数のウォルエナによって埋め尽くされている。要は、囲まれているのだ。
「何でいきなり…!?」
先程までは、ウォルエナの足音1つ聞こえなかったというのに、どうして彼らは今になって集ったというのか?
ウォルエナは賢いらしいから、きっと考えがあるのだろう。理解したくはないが。
「ハルト…」
「…! ミライさん!」
途方に暮れていると、ミライから声をかけられた。
その声は弱々しいものだが、喋られるようになっただ
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