第84話 魔界衆との戦い その壱
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もいうんかい?」
以蔵はもまた胤舜に食ってかかるかのようににらんだ。
「いあいあ、これは失礼。貴公は十分強い。だが、これは差しの勝負ではない。それを忘れては困るということだ。では、十兵衛、拙僧も相手に加わるとしよう」
胤舜と以蔵は再び、十兵衛に向かって構えなおした。
(これは難儀。胤舜坊の宝蔵院流と以蔵とやらの剣技。相手をするのは骨が折れるな)
十兵衛も構え直し以蔵と胤舜二人と対峙した。
特に厄介なのは、宝蔵院流の槍である。一度対峙し、辛うじて勝ちはしたが、よくもまあ、なんな武器を作りだしたものだと感心した。
突けば槍、祓えば薙刀、ひけば鎌。まさにいいとこ取りである。
「では、参ろうか。岡田殿」
胤舜の掛け声とともに以蔵が再度十兵衛に襲い掛かった。
土佐勤王党時代、京を震え上がらせた人斬り以蔵と名を馳せたのは、伊達ではない。
それは、列記とした土台があるのだ。
以蔵は、小野派一刀流および鏡心明智流剣術を体得している強者だ。が、十兵衛を以蔵の攻撃をことごとくかわした。
「ふはははは、十兵衛。もらったぁー」
いつの間にか胤舜が後ろに回っていた。
鋭い突きが十兵衛を襲う。が、間一髪でそれを交わした。
その攻撃は幾度となく十兵衛を襲った。
「しぶとい奴よ、十兵衛。われらの攻撃をことごとくかわすとは」
胤舜は、にやりと笑って言う。
「胤舜坊、同じ攻撃を何度もやれば子供でも見切れましょうぞ」
十兵衛は、胤舜を挑発するようににやりと笑ってみせた。が、実は内心、そうではなかった。
今は突きのみの攻撃であるから、多少はかわせる。なぜなら、胤舜程の使い手。ならば確実に急所を狙ってくるからだ。が、そこに祓いを身ぜられたら十兵衛とてかわしきれないと思っていたのだった。
「ふん。よういうは但馬の子倅が。まぁ、確かにこれでは面白味がないのぉ」
胤舜は、今度は右側面に立った。そして、以蔵は左側面に。ようは、挟み撃ちの状態である。
「ほぉ。型が変変わりましたな」
十兵衛は右目だけで首も動かさず、以蔵と胤舜を交互に見据えた。
「わははは。その通りよ、十兵衛。われら、二人同時攻撃をお前はかわしきれるかな?」
胤舜と以蔵はじりしりと十兵衛との間合いを詰めていった。
(勝機、これを待っていた)
前にも言ったが、以蔵とやりあいながら、胤舜の攻撃をかわすのは剣豪・柳生十兵衛でも至難の業である。が、側面での挟み撃ちならば、見える範囲であれば対応できる。まして、胤舜が、右側面に来てくれたのは幸いだった。
何故なら、十兵衛は隻眼だからだ。もし、左側面に胤舜だったなら、今までと同じで後ろから攻撃されてるのと同じだったろう。
そして、今度は突きだけじゃなく、宝蔵院流の槍の特性を最大限に活かす攻撃を仕掛け
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