暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
弱きは言い訳にならず
[8/9]

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の領主の指示に後押しされる形で各々の得物を構えだす。

「――――うんうん」

その光景を、文字通り高みの見物をする女性は、ただ頷いていた。

煙管の紫煙をうまそうに吸い、そして吐き出し、彼女は言う。



「そう来ると思ってたわクソ野郎」



その言葉尻が、空気に溶け消える寸前。

ゴッッ!!と。

二つの影が、シナルの街を取り囲む樹林の枝葉の合間から高速で飛び出した。

その《二人》は敷地内部の勢力分布を一瞬で把握すると、運動エネルギーの向きを変えるためだけに瞬間的に翅を出し、大きく旋回して再度領地上空へと侵入する。

すでに標的は定めてあった。

誰を、ではなく、場所を、という範囲で。

ケットシー勢とファナハン達幹部陣の、ちょうど中間地点。一般のスプリガンプレイヤーには被害の及ばない辺りへと、()()()は躊躇なく最高速で突撃していく。

ケットシーとは関係ない、ALOでも有数の《個》

献ぜられた二つ名は、《炎獄(テスタロッサ)》と《暴虐存在(ランペイジ)

全の役割を個で賄える彼女らは、ただ地上に降り立った。

ただし、それが亜音速で行われたらどうなるか。

音が、消えた。

それは隕石の直撃のように、スプリガンとして降り立っていたケットシー達に襲い掛かる幹部たちを、冗談みたいな勢いで紙のように薙ぎ倒した。

ただ、降り立つ。

それだけで敵対戦力をゴッソリと削り取っていく。破壊不能(イモータル)属性が付与されていない、細かい小物が破砕される音を辛うじて鼓膜が捉える。

身体中に不快なショックを叩きつけられ、幹部陣がロクに立ち上がることもできない中、どうにか衝撃を耐えきった領主ファナハンは、琴を爪弾いたような、凛と張った声を聴く。

「おや、もう終わりですか?」

もうもうと立ち込める土埃エフェクト。

それを割るように現れたのは、炎のように真っ赤な緋袴に紙のように真白な白衣。それに似つかわしくないほどの、大振りの大太刀を腰に携えた闇妖精(インプ)だった。

彼女は束ねた艶やかな黒髪を軽く振り、周囲を見回しながら優美な柳眉を寄せる。

「いやいや、冒険から離れて内政ばっかやってる幹部なんて、どこでもこんなモンじゃねぇか?上等なのは鍛え上げたご自慢のスキル値くらいだろ」

それに軽い調子で答えたのは、どこかの民族衣装のような、長い薄い布を体に巻き付けたような、ゆったりとした踊り子の衣装のような装備をチョコレート色の肢体に羽織る土妖精(ノーム)の女性だった。

「お前、らは――――ッ」

「んん?おー、お前が領主か?あっはっは、なんだその恰好!めちゃくちゃキリトに似てんじゃんか!なんだ、あいつのファンか何かか!
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