暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
弱きは言い訳にならず
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時間に気ぃつけや。残りは十分もあらへんよ」

「ばッ……ぐ……っ」

「しかもそんリストは、現在進行形で更新され続けてる。あんさんがいくら追放したところで、どこまでしたかを物量で忘れさせるで」

今この瞬間も次々と現れては投票ウインドウを開き、清いとはとても思えない一票を投じていくプレイヤー達を見やり、ファナハンは歯噛みした。

投票が終わり、暇になった者達はお祭り騒ぎだ。

ヒスイにサクラと呼ばれた立候補者の少女を中心に、思い思いふざけたように騒ぎまくっている。

小生が領主になったら、オトコ同士のユージョーを育ませる政策を実行するでござるぅー!と、酒でも飲んでいるんじゃないかと思うぐらいハイテンションでコブシを振り上げる少女に、ギャラリーの女性達が魂の雄たけびを上げていた。

周囲の謀略など気にかけない。ある意味ではのんびり屋で気分屋なケットシーらしいそのバカ騒ぎに、怒りを通り越して怨念めいた殺意のこもった瞳をファナハンは向ける。

だが、その光景に口を挟んだとしても彼女らは止まらない。

きっとその言葉そのものを乱痴騒ぎの一つとして環の中に取り込んでしまう。

―――そもそも、アイツらにはダメージを与えられない以上、暴力に訴えるのは意味がない。……?意味が、ない……?本当にそうか?

ふと、ファナハンは気付く。

確かに今こうして悩んでいる間にも時計の針は正確非情に動き続けている。だが、それでも彼の頭は焦燥を抑えることに成功していた。

なんだかんだ言っても、彼も領主。立派な古参の一人である。

くぐった修羅場ならば、そんじょそこらのプレイヤー達とは一線を画している。焦る時ほど冷静に、スプリガン領主は基本にして真理を実行していた。

数秒間黙考していた男は、弾かれたように顔を上げ、傍らに控える執政部の面子に齧りつくように叫んだ。

「押し出せッ!いくらダメージがないとはいえ、ノックバックまで完全にシャットアウトはしていない!剣やら槍やらで圏外までド突きだして、HP全損させれば――――!!」

だが。

頭の隅っこ。冷静な部分はこの結論に、否を唱えていた。

そもそも、HPを全損させ、死亡させてもどうなるのか。ここはゲームだ。全損させられたプレイヤーは、蘇生魔法待機時間(リメインライト)の状態を経て、再びこのシナルの街の蘇生ポイントで復活するだけだ。どのタイミングで開票され、領主権が移ったとしても、全損させて揺らがすことは不可能だ。

だけど。

しかし。

それを分かっていても、彼らはもう止めることなどできない。

そこにしかもはや活路はない。自らで自らを自縄自縛し、泥沼に突っ込んでいく。

これまで状況に流されるままだったスプリガン幹部の面々も、狂的なまで
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