第一章
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ハーモニカおじさん
梓ちゃんはお友達の真樹ちゃんと喧嘩をしていまいました。
それで一人になって夕方の赤くなった中で公園のブランコにいました。そこに。
ある音が聴こえてきました。その音は。
ハーモニカの音でした。その音を聴いて。
それまで一人ブランコに座ってぶらぶらとしていた梓ちゃんは顔をあげました。そのうえでハーモニカの音がする方を探したのでした。
「何処なのかしら」
ハーモニカの音は公園の外からです。そうだとわかってです。
梓ちゃんはブランコから立ちました。そのうえで。
ハーモニカの音がする方に行きました。公園を出て暫く歩いたところにです。
夕陽を見ながら道の端でハーモニカを吹くおじさんがいました。そのおじさんのところに来てです。梓さんはおじさんに対してこう尋ねたのでした。
「あの。おじさん」
「何かな」
おじさんも梓ちゃんに顔を向けて応えます。とても優しい顔をしたおじさんでした。
「僕に何か用かな」
「どうしてハーモニカ吹いてるの?」
梓ちゃんはおじさんの顔を見上げて尋ねています。小さいのでおじさんを見上げているのです。
「どうしてなの?」
「うん、ハーモニカを吹いてるとね」
「どうなるの?」
「とてもね。優しい気持ちになれるんだ」
だから吹いているとです。おじさんはにこりと笑って梓ちゃんに答えました。
その手には銀色のハーモニカがあります。そのハーモニカも見ながらです。
おじさんは梓ちゃんにです。こうも言ったのです。
「若しもね。嫌なことがあったりいらいらしていてもね」
「そうなってても?」
「ハーモニカの音を聴けばね」
「優しい気持ちになれるの?」
「そうだよ。お嬢ちゃんはどうかな」
梓ちゃんはどうかというのです。
「そうなるかな」
「私は」
「そう。どうかな」
「わからないけれど」
ここで顔を俯けてです。梓ちゃんはこう答えました。
「私今とっても嫌な気持ちなの」
「どうしてそうなってるの?」
「うん。お友達と喧嘩したの」
このことをです。おじさんに言いました。
「真樹ちゃんとね。喧嘩しちゃったの」
「どうして喧嘩したの?」
「お人形貸して言ったの。真樹ちゃんが持ってるお人形ね」
「けれどその真樹ちゃんは嫌だって言ったんだね」
「そうなの。私のものだからって言ってね」
それでだというのです。
「真樹ちゃんと言い合いになって喧嘩になっちゃったの」
「そうだったんだ。けれどそれはね」
「うん。それはって?」
「お嬢ちゃんもお嬢ちゃんのお人形持ってるね」
「一杯持ってるよ」
顔を
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