第一章
[2/2]
[9]前 最初 [2]次話
また見上げてです。梓ちゃんはおじさんに答えました。
「もうね。お部屋に一杯あるよ」
「だったらいいじゃない。お人形一杯持ってるから」
「真樹ちゃんのお人形貸してって言ったら駄目だったのね」
「そうだよ。人のものは欲しがったら駄目なんだよ」
「そうだったの」
「そうだよ。それじゃあね」
ここまで話してです。おじさんは梓ちゃんにです。
自分の口にハーモニカを近付けながらです。こう言いました。
「優しい気持ちになってまた考えるといいよ」
「ハーモニカの音聴いて?」
「そう。そうしてね」
それでだというのです。
「優しい気持ちになってもう一度考えてみて」
「うん、それじゃあね」
梓ちゃんも顔を見上げさせておじさんのその顔を見て答えます。そうしてでした。
おじさんが吹くそのハーモニカの音を聴きます。その音を聴いているうちに。
梓ちゃんは本当に優しい心になってきました。あの時真樹ちゃんに我儘言うんじゃなかった、自分のお人形があるからよかったんだと。そう考えるようになりました。
その梓ちゃんの前にです。向こう側の道から。
真樹ちゃんが来ました。真樹ちゃんはおじさんのところに来てです。梓ちゃんの顔を見て少し驚いた顔になって言ってきました。
「梓ちゃん、どうして?」
「真樹ちゃんも。どうして来たの?」
「ハーモニカの音を聴いてなのよ」
それでここに来たというのです。
[9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ