第四百十八話
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第四百十八話 牛乳の匂いは
梨花は牛乳の匂いを嗅いでみた、今飲んでいるそれはいい匂いに感じる。しかし残った後のそれを考えて言った。
「確かに残したりした跡は」
「匂いがきついわね」
「牛乳ってね」
「それが嫌だったのかしらね」
「子供の時は」
「そうじゃないかしら」
母は梨花に言った。
「ひょっとしてね」
「ううん、味が嫌いじゃなくて」
「匂いが嫌いだったのかもね」
「実はね」
「実は?」
「小学校一年の時牛乳を飲めなかったの」
入学した時はというのだ。
「それでも先生がそれなら鼻を塞いでね」
「そうしてなのね」
「飲んでみればいいって教えてもらって」
「そうして飲んでなのね」
「そこから飲める様になったの」
「やっぱり匂いが駄目だったのよ」
牛乳のそれがとだ、母は梨花に話した。
「つまりは」
「やっぱりそうなのね」
「味自体はよかったでしょ」
「ええ」
そうだとだ、梨花も素直に答えた。
「そちらはね」
「それならね」
「匂いが駄目ってことね」
「そうよ、じゃあこれからは」
「このままなのね」
「牛乳を飲んでいけばいいわ」
「匂いは気にしないで、というか」
梨花はこうも言った。
「今じゃこの匂いもね」
「好きになったのね」
「飲みたくなる匂いよ」
牛乳、まさにそれをというのだ。
「そうした匂いになったわ」
「飲んだらコップをすぐに洗わないといけないけれどね」
「さもないと匂いがきつくなるけれど」
「飲む時は」
「ええ、いい匂いに思える様になったわ」
そうなったというのだ。
「それは好きになったかしら」
「牛乳自体がね」
「そうなっていったのね」
「そうだと思うわ」
「考えも変わったのね」
梨花はここでわかった、そうしてだった。
今は牛乳を飲むのを止めた、そうして飲んだ後のコップを洗ってだった。自分の部屋に戻って学校の勉強をした。
第四百十八話 完
2017・2・3
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