第3章 リーザス陥落
第97話 ゴールデン・ザ・ランス作戦
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う、うわぁぁぁ、死に、死にたくねぇ……!!!」
「お、オレもだ! 楽に勝てるからって。好き勝手に嬲れるからって言われたから志願したんだぁ! こんな、こんなんならついてくる事は……!」
後方に死神と鬼が、前方にも敵兵が。完全に袋小路にされてしまい、絶望に沈むヘルマン兵。その象徴でもある黒い鎧、兜を脱ぎ捨て、完全に戦意を失ったその時だった。
『……こうまで弱くなってしまっていたのか。ヘルマン第三軍は。貪官汚吏どもが古い国を食い物にし続けた。その報いが、ヘルマンと言う古き強国をここまで弱体させた……』
地団太を踏む者、泣きわめく者を見て 心底呆れ果てた様な、或いは疲れた様な、そんな声質。だが、その野太い声は……ヘルマン軍の者達には聞き覚えがあった。
暴れ続けるコンタートルを、そして デカントの前に立つと。
『ぬおお!!!』
その剛腕を振るい、戦槌で薙ぎ払った。
強靭な身体を持つ筈のモンスターも、その一撃を耐える事は出来ず、まるで紙の様に吹き飛ばされ、粉々になった。
「ま、まさか………」
絶望の淵にまで沈んでいたヘルマン兵達が、ゆっくりと 視線を向けた。
その視線の先にいるのは……強国ヘルマンの象徴とも言っていい人物。
漆黒の鎧を身に纏ったブラックナイツの頂点。
「……ここでお出ましか。トーマ」
ヘルマン兵達よりも早く その名を口にした者がいた。
それは いつの間にか、直ぐ後ろにまで来ていた黒髪の男。
「随分時間が掛かったじゃないか。……怪我は癒えたのか?」
「それ程、主の力が凄まじかったと言う事だ。……ユーリよ」
再び相見えた強者達。
それは 後に後世にまで語り継がれるであろう死闘。
敵味方関係なく、全ての戦士達が戦いを止め、視線を釘づけにした程の激闘。
ユーリ・ローランドとトーマ・リプトン。
この2人の出会いが――戦争を更なる段階へと進ませる事になるのだった。
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