第194話 洛陽哀歌
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に涙を溜めながら後ろ向きに崩れるように倒れ伏した。
「義兄上、お手を煩わせました」
血飛沫を浴びた真悠が正宗に頭を下げた。正宗は左右に頭を振った。
「気にするな。古き遺物は新しき時代を築く上で邪魔になる。私は荊州にて決意した。この大陸を導くには時には道理を無視し武断にて解決する以外にないこともある。それを躊躇すれば無駄な命が散る」
正宗は哀しい目で死んだ宦官達を凝視していた。そして瞑目した。
「大陸から戦乱を一掃する」
正宗は目を見開き真悠に言った。真悠は正宗の強い意志を感じ取ったのか拱手した。それに合わせるように他の者達も正宗に拱手した。
「我らの力を義兄上の大業にお役立てください」
「よくぞ皇帝陛下と弘農王を救い出した。真悠、期待しているぞ」
真悠は正宗に誉められ嬉しそうだった。
「義兄上、ここは私にお任せください。揚羽姉上が待っておられます」
「揚羽がか?」
真悠は頷いた。
「姉上と一緒に凪もいるはずです」
正宗は凪の名を聞き得心した様子だった。凪は正宗の命令で董卓を保護するため裏で動いていた。彼女と揚羽が一緒に居るということは十中八九董卓の件だろう。
正宗は真悠達と別れると宮廷を後にした。宮廷の外は正宗軍によって完全に包囲されている状態だった。蟻の踏み場もない程に兵士達が密集しており、反董卓連合軍の者が隙間を縫って入り込める状況に無かった。この他軍を無視した行為が採れる理由は反董卓連合軍の八割以上が正宗軍と正宗派の軍を占めている状況だったからだろう。
「正宗様」
正宗が宮廷の入り口の門を潜ると揚羽に声をかけられた。揚羽と彼女の後ろを追うように凪が現れた。
「上手くいきましたでしょうか?」
揚羽は正宗に近寄るなり質問してきた。質問の内容は劉協に禅譲を迫る件のことだろう。正宗も揚羽の質問の意図は理解している様子だった。
「皇帝陛下はご了承された。正式な段取りは改めて執り行うつもりだ」
正宗は周囲を気にしながら小さな声で揚羽に答えた。
「それはようございました」
揚羽は正宗の言葉を聞き終わると安堵している様子だった。
「正宗様、ある人物にお会いいただけますでしょうか?」
「ある人物とは例の人物か?」
正宗が揚羽に聞くと彼女は深く頷いた。
「無事に助け出すことが出来たのだな」
「正宗様、今回の成功は真悠さんのお陰です」
凪は正宗に董卓保護の役目が成功した理由は真悠のお陰だと答えた。正宗は凪の言葉に笑みを浮かべた。彼は凪の生真面目な気質に好感を抱いていた。だからこそ董卓保護という危険な役目を任せることにした。董卓保護は正宗を身の危険に晒しかねない事案だけに信用できる人物に任せる必要が
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