第194話 洛陽哀歌
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後
正宗は劉協との密約を取り交わすと劉協の元を去った。彼は家臣達を待たせた場所に戻ると家臣達と宦官がその場に控えており、黒ずくめの集団が増えていた。その集団の代表らしき者は真悠だった。彼女は正宗の姿を捉えると笑みを浮かべ拱手した。
「真悠、今回のことは大義であった」
「兄上のために働くことができ嬉しいです」
真悠は即答し顔を上げた。
「清河王の妹御は真に忠臣にございます。皇帝陛下もお喜びにございましょう」
宦官達は揃い手放しに真悠のことを褒めそやした。真悠は宦官達の存在を気にすること無く正宗に話しかけた。
「義兄上、皇帝陛下との話はつつがなく終わったのでしょうか?」
真悠は口元に笑みを浮かべ正宗に聞いてきた。
「皇帝陛下はご了承くださった」
「そうですか。それは重畳にございます。では鼠共はいかがなさいますか?」
真悠は正宗の返事を聞き終わると口元に笑みを浮かべたまま正宗に聞いた。その表情は正宗の答えを理解している様子だったが、正宗の口から直に聞きたいようだった。
「鼠か。もう用済みだ。皇帝陛下も鼠が側に彷徨いていては心穏やかではあるまい」
正宗は冷たい目で宦官達を見据えると淡々と答えた。真悠は正宗の言葉を聞き終わると目を細め口角を上げた。
宦官達は正宗と真悠の雰囲気の変化を感じ取り和やかな空気が一変し彼らは狼狽えていた。
「清河王、何の話をなさっているのですか?」
宦官の一人が声を咬みながら正宗に聞いた。それに正宗は応えず代わりに真悠が答えた。
「義兄上は腐臭を放つ塵は不要と仰せだ」
真悠は小さく笑うと帯剣する剣を鞘から抜いた。その仕草に倣うように彼女の部下達は剣を鞘から抜くと臨戦の構えとなる。正宗も剣を抜くと「宦官達を一人残らず斬れ」と彼の家臣達にも命じた。
「清河王、お話が違うではございませんか!?」
宦官達は悲鳴染みた声を上げ正宗を非難した。正宗は蔑むような目で宦官達を見据えた。
「風見鶏である貴様等を生かしておくと思ったか? お前達宦官は皇帝陛下に飼われているのだ。その立場は皇帝陛下の庇護があってこそ。お前達は自惚れ賈文和に通じた。功績は認めてやる。苦しんで始末するところを楽にあの世に送ってやる」
正宗が言い終わると宦官達の断末魔の叫びが宮廷内に木霊した。正宗は倒れていく宦官達をただ見守った。死線を縫うように正宗の元に近づいてきた一人の宦官が跪きながら震える声で正宗に哀願した。
「清河王、命ばかりはお許しください。お助けくだされば私は清河王のためにお尽くしいたします」
正宗は命乞いする宦官から視線を逸らすことなく剣を振り上げ、それを一気に振り下ろした。彼は視線を宦官から逸らすことは無かった。宦官は目
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ