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自然地理ドラゴン
二章 追いつかない進化 - 飽食の町マーシア -
第25話 五体復活(2)
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……。

 やはり、自分が決めるべきではないのかもしれない。
 うまくこのまま縛り上げて、町の人に引き渡して、町の人の手で裁いてもらったほうが――。
 シドウが迷っていると、ローブの男二人が口を開いた。

「ふむ。この様子ではやはり実験が成功したとは言えないな」
「そうですね。生前の記憶を引き継げたとはいえ、怖がり屋で狼狽屋のアンデッドでは、利用価値も存在価値もない」

 そのようなことを言い、フードをかぶっていない男のほうは、町長に対しこう宣告した。

「戦死する気もないようだな。予定変更だ。お前は処分する」
「な、何……?」

 その町長の疑問には答えず、今度はシドウに対して話しかけてきた。

「ドラゴンよ。よく聞くがよい」
「?」
「この家の中には人間の人質がいる。普通の町民だ。この邸宅を倒壊させたり炎上させたりすれば、その人質は死ぬことになる」

「……?」

 シドウが戸惑っていると、二人の男が町長に手をかざす。
 まず、背の高い男の手のひらから氷球が発生。そのまま発射された。
 至近距離でそれが命中したアンデッド町長は、一瞬にしてバラバラとなり、崩れた。

「あ――」

 シドウが声を上げると同時に、フードのほうの男の手のひらからは炎。
 町長だったアンデッドは灰となった。
 そして、男二人は町長の家の裏口から、中へと逃げ込んだ。

「シドウ! わたしたちで追うから!」
「シドウくんはここで待っていてください!」

 後ろから飛んできたティアとアランが、そう言いながら脇を駆け抜け、邸宅に入っていく。

 二人のその言葉は、耳から頭の中には入ったが、処理はされず、そのままどこかに抜けていった。
 視線は灰となったアンデッド町長に固定されたまま、シドウはただ立ち尽くした。
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