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NARUTO日向ネジ短篇
【共にある幸せを願って】
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り顔で頷いた。…あぁもう、この話はここまでにしなきゃ。兄様にはこの際、ちゃんと言っておかないといけない事が別にあるから───


「ネジ兄様は、ナルトとヒナタ姉様の幸せを想えば自分も幸せだって言ってたけど、本当にそれだけでいいの?」

「……どういう意味だ?」

「他に、自分が幸せにしたい相手とか……一緒に幸せになりたい相手とか……居ないわけ?」

「特に居ないな。他の仲間達が他里を含めいつの間にやら恋人関係になっているのを見るのは微笑ましいと思うが、自分に対しては……そういった事は全く想像出来ない」

「だから兄様にしょっちゅう来る見合い話とか、直接告白されても全部断ってるわけなの?」

「あぁ、まぁ……俺にはどうも、人を幸せに出来る自信がなくてな」

 兄様は俯き加減で、小さく呟くようにそう言った。

その様子が私には儚く見えて、消えてしまいそうで、今すぐ抱き留めてあげたい衝動に駆られた。

……けどその代わり、自然と出た言葉を口にする。


「じゃあ、私がネジ兄様を幸せにしてあげる」

「は…? 何の冗談だ、ハナビ」


 私はこれでも真面目に言ったつもりなのに、兄様ってばきょとん顔して冗談ってのはないでしょうにっ。

「ナルトも鈍感だったけど、兄様も鈍いわよね! 私はネジ兄様が好きよ、幸せにする自信ならあるんだから!」

「いや、もう間に合っている。ナルトとヒナタが結ばれただけでも幸せな気分なのに、それ以上望むつもりは───」

「人の幸せは自分の幸せのように想えるのに、人から直に幸せにしてもらうのは、怖い?」

「それは……、よく、判らない」


 ネジ兄様は困った様子で私から顔を逸らす。

やっぱり……怖がってる。

自分は人から幸せにしてもらうような人間じゃないって、どこかで恐れてるんだ。

それはきっと、個人として自分から人を幸せにする事も恐れてる。

“人を傷つけた痛み”を知っているから、自分自身が幸せになる事に負い目を感じているんだ。


「兄様……、今すぐじゃなくていい。少しずつでもいいの。人の幸せだけじゃなく、自分の幸せの事も考えてあげて。私が、手伝ってあげるから。ネジ兄様が誰かと幸せになれるなら、その相手は……別に私じゃなくてもいいから」

「────」


 私は黙ってしまった兄様の片手をとり、ぎゅっと握った。…出来る事なら、この手の優しい温もりを離したくない。

「ほら、まずは二人の結婚式の準備を手伝わなきゃ! いつか……一緒でも別々でも、幸せになろうね、私達っ!」

「あ、あぁ……そう、だな」

 笑顔を向けた私に、ネジ兄様は微笑み返してくれた。


……木ノ葉の里の桜の木々も、ほころび始めている。

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