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第八十三話 大きな誤算なのです。
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に似ている部分がある。
「また始まったわね。」
カロリーネ皇女殿下がやれやれというようにアルフレートに言う。
「仕方ありませんよ。あの方たちはあの方たちで案外楽しんでいるところがあると思います。」
アルフレートの返答にカロリーネ皇女殿下は驚きもし、またあきれもしていた。どこをどう言う風に見ればそんな結論が出てくるのだろう。
「そう思うの?そうかなぁ。そうは見えないけれどね。」
それはそれとしてカロリーネ皇女殿下には気になることがあった。
「さっきの話の様子、どう思う?」
カロリーネ皇女殿下は書類整理の手をとめて、そっとアルフレートに尋ねた。
「どう思う?・・・・って、ヤン・ウェンリーにはフレデリカさんがいらっしゃるではありませんか。」
「違うわッ!!」
ゲシッ!とツッコミを入れたカロリーネ皇女殿下が、痛そうにしているアルフレートに、
「ウィトゲンシュティン中将の身体のことを聞いているのよ。」
「イテテテ・・・鳩尾入った・・・。あ、あぁ・・・そ、そっちの話でしたか。」
「あんたねぇ・・・。」
しきりにド突かれた箇所をさすりながら、
「ウィトゲンシュティン中将は、何かの御病気なのではないでしょうか?ずいぶんと無理をなさっておいでだと思いますが・・・。たぶん第十三艦隊の・・『帝国からの亡命者の家の家長』だという責任感からでしょう。」
「家長、か。私にはとても真似ができないな。」
カロリーネ皇女殿下は、ウィトゲンシュティン中将の自室を見た。
「あの人、前世での私と同い年くらいなのよね。それに比べて私は・・・・自分の事で精一杯だったもの。前世でも、今でも。他人を思いやることなんてできなかった。」
「・・・・・・。」
「駄目よね。そんなことじゃ。私と同い年の人が頑張ってるのに、私が頑張らないっていうのはどうにも癪なのよね。それに、今は私はあの人の副官だし。」
カロリーネ皇女殿下はファイルを片付け始めた。
「私にできるのはこうやってあの人が取り出しやすいように身の回りを整理することくらいかな。もっとヤン・ファミリーのように役に立てればいいんだけれど。」
寂しそうな横顔がアルフレートの胸をうった。それは彼をして話しかけるのをためらうほどの寂寥感をにじませていたのだった。
他方――。
イゼルローン要塞では自由惑星同盟からの攻撃をいなし、あるいはこちらからの反撃を実行し、結局のところ決め手がないまま対峙を続けていた。
「ああもう!!!いつまでコバンザメのようにくっついていればいいのよ!!!???」
いらだったティアナが自室でたまりかねたように叫んだが、ほどなくして顔を赤くすると、自分の頬を叩きながら会議室に戻ってきた。我ながら辛抱が足りないと思ったのかもしれない。
「何をしていたのだ?」
ロイエ
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