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第八十三話 大きな誤算なのです。
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ない。制圧できないならば破壊してしまえ、というやけくその命令も出たが、それができなかった。というのは、アーレ・ハイネセンが後退して主砲をぶっ放そうにもイゼルローン要塞のほうがコバンザメよろしくしっかり食いついて離さなかったのだ。
ヤン・ウェンリーが放った要塞奪取作戦も数度にわたって手を変え品を変え行われたが悉く敵の前にはじかれて失敗してしまった。これらの報告がもたらされた際に跳ね返ってきたのは国防委員長からの叱責である。これにはヤンとしても頭を掻くほかなかった。内心ヤンに期待していたアルフレートもカロリーネ皇女殿下もいささかあっけにとられた形である。が、後でこっそりとヤン艦隊の幕僚であるフレデリカ・グリーンヒル大尉に聞くとヤン・ウェンリーとしては「想定内」だったというのである。
「閣下はこうおっしゃっていましたわ。あれは敵の力量を見定めるためのものだったのだと。ですから閣下にはまだ腹案がおありなのだと思います。」
フレデリカ・グリーンヒル大尉は確信をもってそう言ったのである。
そのヤンは存外失敗をめげずに、次の作戦案をウィトゲンシュティン中将の下に持ってきていた。
「要塞を制圧することは難しいですが、要塞を破壊することはさして困難なことではないと思います。」
という言葉と共に、彼は二通の作戦書類を提示したのである。一通は、イゼルローン要塞を制圧することの困難さのレポートであり、もう一通はそのイゼルローン要塞破壊作戦の立案書類で有った。
「これは?」
「第十六艦隊のアーセルノ中将から提案があったもので、私も二、三、修正を加えさせてもらったものです。本来ならば立案者が持ってくるべきなのでしょうが、押し切られてしまいましたよ。」
「迷惑をかけるわね。私が不甲斐なくて申し訳ないわ。」
いう人が言えば皮肉そのものであったが、このところあまり元気がないウィトゲンシュティン中将の口からは心底の申し訳なさが伝わってきた。それについてヤンはどうこう言わず、
「少し、お疲れのようですから休まれてはいかがですか?」
とだけ言った。
「ありがとう。でも、これを検討してからにしたいの。」
「あぁ、それがですね。数ページで終わればよかったんですが、少々分厚いんですよ。」
ヤン・ウェンリーは頭を掻いた。
「少しお休みになって頭がすっきりしてから読むのをお勧めします。体調がお悪い中で読むと頭が痛くなりますよ。歴史書やファッション誌とは違いますからね。」
ウィトゲンシュティン中将は思わず声を上げて笑った。居合わせた者は皆びっくりして顔を司令官に向けた。彼女が笑う声を久方ぶりに第十三艦隊のスタッフたちは聞いたのである。
「あなたって面白い人ね。わかったわ。タンクベッドで少し仮眠してそれから読むことにするわ。」
「お聞き届けくださって何よりです。」
う
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