突撃!!聞かん自慢。
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ろう。
「そんなことは俺だってわかっている!大丈夫だ。今日は見学だからな。猪突猛進などはせんさ。」
そう話しているうちに、ラインハルトの旗艦の係留場所に到着した一行。その流線型の優美な純白の艦の中、しかも主君のプライベート空間が一体どうなっているのか、知りたいと願う提督たちであった。
早くもラインハルト自らが艦の昇降口に降り立って一同を出迎えていた。
「よく来てくれた。」
ラインハルトは微笑をたたえながら、提督たちを艦内にいざなった。
「ローエングラム公、いったいどんなご趣味をお持ちなのですか?」
ビッテンフェルトが待ちきれないように聞いた。礼儀に反すると一同は思ったが、それでも聞きたかったことを聞いてくれたので、彼の猛進さに感謝していた。
「それは私の部屋に入ってからだ。ここは艦橋だからな。プライベートのものを持ち込む場所ではない。」
流石はラインハルト、きっちり公私の区別をつけているんだわとティアナ、フィオーナ、イルーナらは思った。
一同待ちきれない様子で、廊下を通り、プライベート区画へと歩を進めた、が、どうしたことか、一番早足になっているのは他ならぬラインハルトなのだ。それもだんだんとペースをあげていくので、おかげでしまいには一同は駆け足にならざるを得なかった。
「急げ急げ!」
「どういうことだこれは?」
「なんで旗艦の中で駆け足なのかしら?」
「というかマラソンが趣味なわけ?」
「そんなわけないでしょ?」
「じゃあこれはどういうことなのだ?」
一同がしゃべりながらラインハルトの後を追って、ようやく一つの扉の前にたどり着いた。
「間に合ったか!いや、すまなかった。こうでもしなければ、卿らに堪能してもらえないのでな。」
「???」
?マークが頭の上についている一同をしりめに、ラインハルトは扉を開けた。眩しい光があたりに満ち満ちて、思わず目を庇った一同。ほどなくして目の前に現れたのは――。
なんとも言えない摩訶不思議なにおいが立ち上る厨房だったのだ。
「こ、こ、これは?!」
ケンプがのけぞる。厨房の上には何とも形容しがたいスライムのような物が鎮座しており、一面色とりどりの粘着質のような物体が血の様に飛び散っている。だが、その中にあって唯一完成形を保っているのが、デコレーションケーキだった。
「閣下、これはケーキなのですか?」
フィオーナはいつになく間抜けな質問をした。そりゃそうだろ、どう見てもケーキだろ、という言葉が提督たちの脳裏によぎる。
「そうだ、ケーキだ。苦労したのだぞ。卿らの旗艦巡りを知ってから私も日頃の趣味を実演して見せたくてな、こうして一晩がかりで試作を繰り返し、やっと完成したのだ。姉上のケーキには及ばないがな。」
「しかし、また、どうしてケーキを?」
ワーレンが恐る恐る聞いた。
「
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