突撃!!聞かん自慢。
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「で、その内装とはどんなものなのだ?」
話題を振ってもらいたそうな顔つきだったので、ミッターマイヤーがミュラーに聞いた。
「そうだ!実際に見ていただいた方が話が早い。きっと皆さまもそれぞれの旗艦に愛着があり、カスタマイズをしているのではないですか?ならば、この際それらを見るための旗艦巡りツアーをしませんか?」
「また卿はとんでもない提案を――。」
ワーレンが顔をしかめたが、その声は「おおっ!」「面白い!」「いいだろう!俺の旗艦のすごさを見せてやろうではないか!」「望むところだ!」などという声にかき消されてしまったのである。
栄えある一番手は誰になるか。喧々諤々の議論の末、くじを引こうということになり、その結果の一番手はアイゼナッハになったのである。
翌日、提督たちはさっそくオーディンのドッグの一画に占めているアイゼナッハの旗艦ヴィーザルに赴いた。ヴィーザルはロケットのような形をした珍しいタイプの旗艦であり、前面傾斜装甲による集中火力配備と後尾の8基のエンジンによる安定した推進装置による出力等が自慢の艦である。副官以下がと列して迎える中を提督たちはアイゼナッハの旗艦に乗り込んだ。
「おい、どうしたんだ?奴はどこにいるんだ?」
ビッテンフェルトががらんとした艦橋に立ってあたりを見まわしたが、副官や艦橋要員、従卒たちがいるばかりでこの艦の主はいないのである。その副官たちも平素は無口である。従卒一人であろうと合図一つで動くように訓練されているのである。さすがは沈黙提督の旗艦だと皆は思った。
「ううむ、アイゼナッハはいったいどうしたのだろう?」
ミッターマイヤーが首をかしげる中、ケスラーが何かを見つけた。司令官の席の付近になにやら白い点々が落ちているのに気が付いたのだ。
「なんだこれは?何かの汚れか?」
「クリームかな。従卒が掃除を怠ったせいかもしれん。」
「それにしてもこんなに目立つところに。」
一同が口々に言っているときに、不意に司令官席の後ろのハッチが空き、アイゼナッハがのっそりと姿を現した。そして一同をみると遅れてすまないというように頭を下げ、そしてにっこりして手招きしたのである。それを見たロイエンタールが、
「ついて来いというのか?ほう、司令官の個室に案内するというのか。」
旗艦の中枢たる司令官の個室に足を踏み入れさせるとは、沈黙提督は案外敷居が低いのだなと口々に言いながら一同はアイゼナッハの後を追った。
「妙だな。ここにも白い点々があるぞ。」
ケスラーが先ほどと同じ点々を見つけた。よく見るとその点々はそこかしこに見られる。床の上にも、横の壁にも。
「なんだこれは?」
「さぁ。いったい何なんだろうな。」
「アイゼナッハの奴掃除をしないのか?」
一同が司令官の個室の前に来た時だ。不意にバサバサッ!!
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