第六章
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なあ」
「御前が大学に受かるなんてな」
「しかも伊豆さんと同じ大学か」
「それ、実現したんだな」
「夢みたいだよ」
卒業前にお祝いに来ているカラオケボックスの中でだ。彼はビールのジョッキを片手に言う。
「本当にな」
「だよな。伊豆さんも頑張ったしな」
「御前にペーパーテスト合格させるんだもんな」
「赤点記録保持者の御前をな」
「やっぱり凄いよ」
「いや、本当だよ」
剛士自身もだ。このことは素直に認めていた。
そして満面の笑顔でビールを飲みながらだ。こうも言うのだった。
「あの娘なかったら俺こうはなってなかったよ」
「就職か?」
「そうなってたか?」
「そうだよな。まあ就職もいいけれどさ」
それも悪くないと言うのだ。だが、だった。
「けれどあの娘と一緒の大学に通えるんだぜ」
「それがよかったってんだな」
「御前にとっては」
「本当によかったよ。やっぱりな」
剛士は満面の笑みでさらに言う。
「あの娘は俺にとって最高のトップアイドルだよ、いや」
「いや?」
「いや、何だよ」
「トップアイドル以上だよ」
こうまで言うのだった。
「女神だよ、俺にとっての幸運の女神だよ」
「おいおい、そこまでかよ」
「そこまでの娘なのかよ」
「本当にな。そうだよ」
満面の笑みでの言葉が続く。
「あの娘に会えてよかったよ。それでこれからもな」
「これからもかよ」
「そう言うんだな」
「一緒だよ。その女神と一緒にいるからな」
幸せを感じながらだ。剛士は言っていく。そしてだ。
彼は大学でも、そして卒業して二人で八条学園の教師として就職してからもそれからもだ。香奈恵と一緒にいた。そうして彼のトップアイドルとだ。何時までも幸せに生きたのである。彼はずっとだ。自分程幸せな人間はいないと語った。満面の笑顔で。
トップアイドル 完
2012・5・1
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