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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十三話 兵は詭道なり
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、亡命者ですからね。その彼が増援の要請を出しても、基地からは被害甚大との通信が流れていれば司令部は信用しないでしょう。わざと激戦を装い武勲を過大なものにしようとしていると判断します。当然増援は拒否か、或いは微少なものになるはずです……”
酷いです、よくもそんな酷い事を考え付くものです。私もバグダッシュ少佐も呆れました。ですが同時に恐怖も感じています。
敵の攻撃部隊の指揮官はやはりリューネブルク准将でした。つまり此処に来たのはグリンメルスハウゼン中将です。少佐の推測は完全に当たっていた事になります。そして全てはヴァレンシュタイン少佐の思うとおりに動いている……。
戦闘開始直後から少佐はセレブレッゼ中将に代わって防衛戦の指示を出しています。自分の用意した武器が役立っているのが嬉しいのでしょうか、ヴァレンシュタイン少佐は微かに笑みを浮かべながら戦闘を見ています。怖いです。
司令室の中は同盟軍が優位に戦闘を進めている所為でしょう、比較的落ち着いています。何よりもセレブレッゼ中将が落ち着いています。帝国軍がヴァンフリート4=2に降下した直後は興奮していましたが今はニコニコして笑い声を上げる事も有ります。
ヴァレンシュタイン少佐に対する信頼も益々厚くなりました。少佐の進言に対してはほぼ無条件にOKを出してます。セレブレッゼ司令官の機嫌が良いため皆も不必要に緊張する必要がありません。多少戦闘の酷さに顔を顰める人間もいますが、味方が酷い目にあっているわけではないですし、ところどころで笑い声も聞こえます。
「帝国軍の単座戦闘艇(ワルキューレ)が近付きつつあります、数、約二百機!」
オペレータが緊張した声をあげました。司令室の中にも緊張が走ります。帝国軍の狙いは明らかです。単座戦闘艇(ワルキューレ)を使用して近接防御火器システムを潰そうというのでしょう。
近接防御火器システムを潰せば地上攻撃メカが威力を発揮します。そうすれば形勢逆転も可能、そう考えているのは間違いありません。視線がヴァレンシュタイン少佐に集まりました。少佐が微かに冷笑を浮かべました。
「ようやく来ましたか、少し遅い、それに少ない……。第五十二制空戦闘航空団に迎撃命令を」
「はっ」
「対空迎撃システム、作動開始」
「対空迎撃システム、作動開始します」
「酷いな、これは……。帝国軍の損害は増える一方だろう」
バグダッシュ少佐が呟くように言葉を出しました。全く同感です。第五十二制空戦闘航空団は約四百機の単座戦闘艇、スパルタニアンを所持しているのです。帝国軍の二倍の兵力です。そして対空迎撃システム……。おそらくあっという間に敵の単座戦闘艇(ワルキューレ)、二百機は壊滅状態になるでしょう。帝国軍に同情するわけではありませんがちょっと酷すぎます。
「まだ、引
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