第三十七話 一つになってその四
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「王家の者は全てそうです、そして」
「我々もですね」
「新教旧教に関係なく」
「国の僕である」
「そうなのですね」
「この国の為に働いて下さい」
マリーが最も言いたいことだった、この言葉は。
「私もそうしますので」
「はい、では」
「その様にさせて頂きます」
「是非共」
「この国の為に」
「そして卿達もです」
マリーは旧教徒の諸侯達にさらに話した。
「私の婚礼に」
「はい、出席させて頂きます」
「是非共」
「そうさせて頂きます」
「それでは」
旧教の諸侯達は確かな顔で頷いた、そうして彼等も婚礼に向かうのだった。今この国は新教も旧教もなかった。
マリーの婚礼にはセーラとマリアも出席することが決まっていた、セーラは彼の夫である半島の王にこのことを話したが。
王もだ。セーラにこう言ったのだった。
「では余もだ」
「出席されますか」
「そうしよう」
セーラに確かな声で答えた。
「是非な。そしてだ」
「大公の爵位をですか」
「受けよう」
彼自らというのだ。
「そうしよう」
「そうされますか」
「元々は一つの国だった」
王は四国全体のことにも言及した。
「だからな」
「再びですね」
「一つになろう、そもそも正式には我が国はだ」
王は自国、半島についてさらに話した。
「あの国の臣下だ」
「はい、あの国を主君とする」
「王を名乗っているが」
「同格ではないですね」
「我が国は四男の家だ」
北の王国が次男、島国が三男でだ。元々は長兄の王に三人の弟達が大公に任じられたのがはじまりなのだ。
「臣下であることを認める」
「王ご自身が」
「無論私も王であることに誇りを持っている」
王は妻に強い声で述べた。
「そのことはな。しかしだ」
「それでもですか」
「私の誇りだけであの国、他の二国と争い続ければ」
「民が疲弊し」
「そして王国が喜ぶだけだ」
「これまで王国は四国を争わせてきました」
そうして漁夫の利を得てきたのだ、王国は帝国と対峙しながら四国を争わせ彼等の脅威を軽減させてもきたのだ。
「そしてあわよくば」
「四国全てをだな」
「はい、併呑しようとしていました」
「四国は大陸から離れている」
島になっているのだ、島国だけでなく四国全てが実は島なのだ。
「王国は何度も海を渡ろうとしてきた」
「その都度阻んできましたが」
「あの国に飲み込まれない為にな」
「四国はですね」
「やはり一つに戻るべきだ」
「だからこそ」
「私は大公の爵位を受ける」
そうするというのだ。
「そしてこの国の王はだ」
「エヴァンズ家ですか」
「お譲りしよう」
王冠、それをというのだ。
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