第百四話 夜の海と花火その十
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「修学旅行でもそうだったし」
「あの時は日本酒を相当飲んだでござる」
「今回もね」
「そうしていいでござるか」
「うん、飲んでもね」
本当にそうしてもだ。
「いいとも思うから」
「では、でござるな」
「気にせず飲む?」
マルヤムさんだけでなくチェチーリアさんにも尋ねた。
「そうする?」
「そうでござるな、ではでござる」
「今夜は」
「パエリアでござる」
マルヤムさんは笑顔で言った、そして。
チェチーリアさんもだ、僕ににこりと笑って答えてくれた。
「それじゃあ」
「はい、パエリアを」
「食べに行きましょう」
「今から」
こうしてだった、僕達は三人でパエリアを食べることが出来るスペイン料理の店に行った、そこはホテルから歩いてすぐだった。
お店の中に入ると白と茶色の内装だった、石造りと木造が程よく合わさっている感じだ。そのお店の中に入って。
お店のウェイトレスさんに案内してもらって四人用の席に着いた、そして。
そこでそれぞれパエリアを注文した、三人共シーフードパエリアを注文した。ワインも同じ赤ワインそれもスペイン産だった。
注文を終えてだ、チェチーリアさんは僕とマルヤムさんにこんなことを言った。
「パエリアというか近いお料理はペルーにも」
「ありますか」
「ない訳じゃないし食材さえ揃えば」
「作ってですか」
「食べたりもするかしら」
こう言うのだった。
「地域によっては」
「海沿いならですね」
「ええ、鶏肉や香辛料、トマトはあるから」
ペルーの何処にもだ。
「後はね」
「シーフードですか」
「まだ地域によっては電気が届いていなくて」
「それで、ですね」
「冷蔵庫もなければ冷凍技術も」
こちらもだった、電気だけでなく。
「ない場合があるので」
「まだ、ですか」
「ペルーでも」
「マレーシアはやっとでござるな」
マルヤムさんは微妙な顔になって僕達に話した。
「冷凍技術も電気もでござる」
「国中に」
「そう言っていい状況になったでござる」
「そうなんだね」
「ここまでなるのに時間がかかったでござるよ」
「ペルーはまだ物騒な地域があるから」
それでというのだ、ペルーではまだ共産ゲリラや麻薬密売組織なんかがあるらしい。中南米の治安はまだまだ不安定だ、国によっては。
「それで」
「近代化、でござるな」
「それが届いていないの」
「しかも貧富の差も」
「まだ激しいから」
「難しい問題でござるな」
「これでも以前よりは遥かにましになったの」
現状は、だ。ペルーにしても中南米の他の国々にしても。
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