第百四話 夜の海と花火その八
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「まず、でござる」
「アッラーに謝るんだ」
「アッラーは寛大でござるが」
その寛大さはかなりのものとのことだ、少なくとも旧約聖書である様な些細としか思えないことで徹底的に神罰を下すことはしないらしい。
「謝らないといけないでござる」
「そうなんだね」
「これ位のことは目標でござる」
「出来る限りで」
「だからでござる、甘えになるでござるが」
しかしというのだ。
「アッラーにお許しを得たでござる」
「それじゃあね」
「食べに行くでござる」
「そういえば」
ここでだ、一緒にいるチェチーリアさんがマルヤムさんに言ってきた。
「マルヤムは魚介類も食べているわ」
「大好きでござる」
「鱗のないお魚でも海老でも」
「何でも食べるでござる」
「けれど実は」
「鰻とかは」
チェチーリアさんは穏やかな声、チェチーリアさんの調子でマルヤムさんに話していた。
「イスラムでは食べたら駄目よね」
「シーア派によってはでござる」
「そうなのね」
「シーア派は様々な宗派が存在しているでござる」
この辺りキリスト教のプロテスタントみたいだ、もっとも成立の過程と歴史は違うが。
「拙者はスンニー派でござる」
「スンニー派ではなの」
「特に魚介類のタブーはでござる」
「ないの」
「あまり食べないでござるが」
だがそれでもというのだ。
「聞いたことがないでござる」
「そうなの」
「後で、ござる」
さらに話したマルヤムさんだった。
「お酒は何だかんだでござる」
「飲んでるのね」
「拙者をご覧になってくれればである」
「そういうことね」
「イスラムは厳しい宗教ではござらぬ」
このことは注意したマルヤムさんだった。
「寛容でござる」
「そうよね」
「このことはチェチーリア殿も承知でござるな」
「ええ、この学園に入ったら」
この八条学園にだ。
「ムスリムの人も多いから」
「お付き合いをしてでござるな」
「わかったわ」
「イスラムは寛容でござる」
マルヤムさんは強い声でだ、チェチーリアさんに話していた。
「そこを承知して欲しいでござる」
「そうよね」
「だから飲みに行くでござる」
何かマルヤムさんの方が積極的だった。
「問題は何を飲むかでござるが」
「それじゃあね」
僕はマルヤムさんの言葉を受けてチェチーリアさんにも話した。
「パエリア食べに行く?」
「パエリアでござるか」
「スペイン料理の」
「うん、あれとね」
パエリアを食べてそしてだ、飲むものは。
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