暁 〜小説投稿サイト〜
八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第百四話 夜の海と花火その七

[8]前話 [2]次話
「皆様をお助けに参ります」
「宜しくお願いします」
 僕は畑中さんにまた応えた。
「僕は格闘とかは出来ないので」
「剣道や古武術は、ですか」
「心得がないので」 
 そうしたものはだ、僕は本当に縁がない。そういえば親父も学生時代は水泳やテニスをしているが格闘とは無縁だ。
「ですから」
「その時はです」
「畑中さんがですか」
「お助けします」
「直新陰流、古武術で」
「そうさせて頂きます」
 こう僕に話してくれた。
「ご安心下さい」
「万が一の時も」
「皆様に危害はです」
「加えさせないと」
 まさにという返事だった。
「ここの地図は頭の中に入っています」
「じゃあ」
「何処で何がありましても」 
 僕達にだ。
「すぐに行きますので」
「ハウステンボスの場所もですか」
「全て、細かい路地裏までです」
「ご存知ですか」
「ホテル、建物にしましても」
「そのマップもですか」
「頭の中に入れていますので」
 とにかくハウステンボスのことは全てというのだ。
「何しろ好きな場所で何度も通っていますので」
「建物もですか」
「おおよそ頭の中に入れています」
「凄いですね」
「ですが覚えておくことが大変です」
 ここで畑中さんはこうも言った。
「歳なので」
「あっ、そこでそう言われますか」
「はい、やはり歳を取りますと」
 そうなってしまってはというのだ、誰もがやがてそうなることだった。年齢を重ねていけば。
「次第に記憶力が落ちていきます」
「畑中さんでもですか」
「そろそろ私の年齢になりますと」 
 お話は次第に畑中さんにはそぐわないものになっていた、何かどうもこの話を聞いていると違和感を感じた。
「ぼけてもきますし」
「そのことは」
「記憶の維持には苦労しています」
「畑中さんでもですか」
「はい」
 僕に答えてくれた。
「これが」
「そうですか」
「本当に苦労しています」
「どうもそれが信じられないですが」
 僕にしてはだ、畑中さんがそうなるなんて。
「今もしっかりとしておられて」
「日々鍛錬しているせいでしょうか」
「身体とですか」
「本も読み執事の仕事もです」
「お仕事もですか」
「はい、鍛錬です」
 そうなるというのだ。
「身体にも頭にもいい」
「そういえば何かと動かれていますね」
「これがです」
「そうしたことによくて」
「私もです」
 そうしたことにならないというのだ、どうなってしまうかは僕はとても言えなかった。畑中さんがそうなるかと思うと。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ