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提督はBarにいる。
艦娘とスイーツと提督と・19
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〜秋雲・ブラウニー〜

「いや〜ホント助かったよ提督ぅ」

 ニコニコしながらそう語る秋雲。その顔に浮かぶ疲労の色は、濃い。目の下には隈がくっきりと浮き出ているし、頬も若干だが痩けている。しかしその右手はガッチリとペンを掴んで離さない。忙しなく原稿用紙の上を疾走している。

「何とか一人ででも仕上げてやる〜っ!て頑張ってたんだけどさぁ。やっぱ無理があったわ」

「けどさ、提督が手伝ってくれてるお陰で何とか入稿間に合いそうだよ〜いやーホント感謝感謝」

「なぁ秋雲よぉ、俺ぁ確かにお菓子の他に出来る事なら一緒にやるっていったぞ?」

 俺は青筋を浮かべながらも、冷静に諭すように語る。

「うんうん、言ったよねぇ。お陰で大助かりだよ」

「違うんだ秋雲、そうじゃねぇ」

「ありゃ?」

「何で俺が自分をモデルにした薄い本の製作の手伝いせにゃならんのじゃっ!」

 そう、今秋雲は薄い本製作の真っ最中。しかも締め切りまで後数時間というリアル修羅場。そして俺はベタとトーン貼りを手伝わされている。

「え〜、だってさぁ前に提督のアッー!な感じの本を書こうとしたら滅茶苦茶怒ったでしょー?」

「普通の人間なら怒るわ、普通」

「だから今回は提督主人公のハーレム物にしたんじゃないすか〜。何か問題が?」

 作業に関して何か文句があるわけではない。元々プラモデル作る時なんかのデカールのカットや塗装に比べれば楽なモンだし、こういうチマチマした作業も嫌いでは無かったりする。しかし問題はそこじゃない、作品の内容である。




「何というか、こう……致してる時の中身とか、前後の会話とか、妙にリアルというか既視感があるというか」

「あ〜、そりゃ当然っスよぉ」

「あん?」

「秋雲さんはリアリティに拘る人ですからねぇ、モデルが居るならそりゃ取材しますよ〜」

 おいおい、まさか。

「じゃあ何か?ここに出てくる金剛とか赤城とか、皆に取材して回ったのか」

「当たり前じゃないスかぁ。いやぁ皆さんすごく協力的で、聞いてない事まで色々と喋ってくれましたよ!」

 惚気話って喋りたくなるってマジなんだねぇ、とケラケラ笑う秋雲。何でよりにもよって秋雲にバラしてしまったのか。

「秋雲」

「ん、なーにー?」

「この際俺を二次創作に使うのは変な内容でない限り構わん、許可しよう。ただし……青葉をはじめ他の連中に情報漏洩したら……ぶちのめすぞ?」

 殺気を放ちながら右手に力を込める。ミシリ、とベタ塗り用の筆が悲鳴を上げる。俺の本気度は秋雲ならば肌で感じ取っている事だろう。

「い、イエッサー……」

 青ざめた顔でコクコクと頷く秋雲。後顧の憂いは断たれた、頑張って手伝ってやる
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